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監修:西川嘉一医師 クマ治療、ニキビ治療の専門家。美容皮膚科医。東大医学部卒。

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【目の下のくま(クマ)】を美容皮膚科医がわかりやすく解説

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目の下のくま(クマ)と呼ばれるものには、実は種類があります。
種類によって原因や治し方が異なります。

1.目の下のくま(クマ)の種類と原因

目のくまには、「黒クマ(影クマ)」・「茶クマ」・「青クマ」・「赤クマ」の4種類があります。
それぞれの目のくまの原因・特徴と治療方法をご紹介します。

1-1. 黒クマ(影クマ)

黒クマ(影クマ)の正体は、実は「皮膚についた色」ではなく「目の下にできた影」です。
多くの方が年齢を重ねる、目の下に膨らみ(目袋)が出現し、その影により目の下が暗くなります。
出現した目の下の膨らみの正体は眼窩脂肪(がんかしぼう)と呼ばれる目の周りの脂肪です。
眼窩脂肪はもともと目のまわりに存在していますが、年齢とともに前方向に飛び出してきます。

どうして飛び出てくるの?

眼窩脂肪が飛び出てくる主な理由は3つです。

◯ 眼窩脂肪の量が多い
◯ 眼球を支える靭帯(ロックウッド靭帯Lockwood ligament・眼窩隔膜)の緩み
◯ 目周りの筋肉「眼輪筋」(がんりんきん)の緩み

などによって、目の下の脂肪が飛び出てきます。

【眼窩脂肪が飛び出る前のイメージ】

【眼窩脂肪が飛び出たときのイメージ】

黒クマ(眼窩脂肪)の出現を実感するタイミングは20代後半あたりからが多いのですが、まれに小・中学生くらいから出現している方もいます。
これは遺伝要因が関係していると考えられます。
また、もちろん40~50代から黒クマが出現する方もいます。

年令によって原因が違う?

年齢によって黒クマの出現した原因が異なるので下記にまとめます。

◯ 小・中学生から黒クマがある
  ⇒遺伝的に眼窩脂肪の量が多い方

◯ 20~30代で黒クマが出現した方
  ⇒眼窩脂肪の量がやや多めで、年齢とともにロックウッド靭帯・眼窩隔膜や眼輪筋の緩みが発生し黒クマが出現

◯ 40~50代以降で黒クマが出現する方
  ⇒眼窩脂肪の量が多いというよりも、ロックウッド靭帯や眼輪筋の緩みが主体になり黒クマが出現

年代ごとに、出現する原因は異なりますが、どの年代の人も年齢とともに症状は悪化してきます。

どんな方法で治療するの?

黒クマの治療法大きく分けて2つあります。

◯ 眼窩脂肪を減らす(手術や注射など)
◯ 眼輪筋を鍛える(眼輪筋トレーニング・EMSなど)

眼窩脂肪を減らす方法は、クリニックや病院でないとできませんが、確実な効果を認めます。
治療方法や眼窩脂肪をどの程度減らせるのかなどは、クリニックや病院により異なるので、担当医師に説明を受けましょう。
20代~30代のうちに治療を行うことで、将来のアンチエイジング効果も期待できます。
デメリットは費用が高いことです。

眼輪筋トレーニングは、効果がある人もない人もいます。
また、眼輪筋トレーニングを頑張りすぎると、目の下のちりめんジワが増えてしまうというデメリットもあります。

1-2. 茶クマ

茶色は皮膚の色素であるメラニンの色です。
メラニンは日焼けなどによっても増えますが、目の周りだけ増えるのは、2つの原因が多いです。

◯ メイクや洗顔などによる刺激
◯ ADM/SDM(後天性/対称性真皮メラノサイトーシス)

目周りは皮膚が薄いエリアで、メイクや洗顔などの刺激で色素沈着しやすい場所です。
花粉症などでよくこすってしまう人も目周りに色素沈着が起きやすいです。
刺激による色素沈着は、単純に刺激をなくせば時間とともに薄くなります。

どんな方法で治療するの?

ADM/SDMは真皮という部分にメラニンが溜まってしまう状態です。
ADM/SDMに対する根本治療は、レーザー治療のみです。
ADM/SDMを濃くしないための対策としては、日焼けを避けることが挙げられます。

治療ではありませんが、メイクでカバーできるのも茶クマの特徴です。

1-3. 青クマ

青クマは、目の下の皮膚が薄く、皮膚の下の筋肉の色が透けて見えることと
目の下の筋肉(眼輪筋)の血流が悪く色が暗くなっていることが原因です。

もともと皮膚が薄い人は10代でも青クマがみられます。
特に皮膚の色が白めの方も、色も薄く皮膚が薄い傾向が高いため、青クマが発生しやすいです。
また、年齢を重ねることで皮膚は薄くなっていくので、年齢とともに青クマが出現する人もいます。

また、寒いと血流が悪くなるので、冬に悪化するのも青クマの特徴です。

どんな方法で治療するの?

対策は大きく分けて2つあります。

◯ 色を隠す(メイク、保湿、注射など)
◯ 眼輪筋の血流を良くする(マッサージ、温める、薬など)

皮膚を物理的に分厚くするのは難しいので、メイクなどで色を隠すのが手軽にできる方法です。
眼輪筋の血流を良くするのは、一時的には可能ですが、長時間血流を良くし続けるのは難しいので、あまり推奨していません。
特にマッサージは頑張りすぎると、茶クマ(色素沈着)の原因となってしまうため、注意が必要です。

1-4. 赤クマ

赤クマの原因は、青クマと似ています。

皮膚が薄く、血行のいい目の下の筋肉(眼輪筋)の色が透けて見えてしまう状態です。
動脈の血の色(酸素の多い血の色)は赤です。
酸素の多い血の色を反映しているのが赤クマです。

どんな方法で対策・治療するの?

◯ 色を隠す(メイク・保湿・注射など)

です。

2. 目の下のくま(クマ)の消し方・治し方

どのようすれば気になる目の下のくま(クマ)を消したり治したりできすのでしょうか?
目の下のくま(クマ)の種類別に、アプローチ方法をご紹介します。

2-1. 目の下のくま(クマ)の消し方・治し方 ~日常生活編 マッサージなど~

4種類の目の下のくま(クマ)には、「日常生活で改善可能なクマ」と「日常生活では改善が難しいクマ」があります。

日常生活で改善可能なクマはこちらです。

◯ 茶クマの一部
◯ 青クマの一部

改善のための具体的な方法を解説いたします。

2-1-1. 目の下のマッサージ【青クマ対策】

目の下マッサージは、かなり上手く行わないと、茶クマを誘発することが多い為、私(西川)は推奨していませんが、ご紹介までに。

【マッサージ方法】
目の下を、眼球の包む骨(上顎骨+頬骨)の縁に沿って、人差し指・中指・薬指の3本で、やさしく押します。
これを10回繰り返します。左右には動かしません。

それだけで青クマがある程度改善します。
青クマをなくそうとするあまり、強い力でマッサージをしたり、やりすぎたりすると、茶クマを誘発しますのでご注意を。

2-2. 目の下のくま(クマ)の消し方・治し方 ~基礎化粧品 アイクリーム・美容液編~

4種類の目の下のくま(クマ)には、「化粧品やメイクで改善可能なクマ」と「化粧品やメイクでは改善が難しいクマ」があります。

化粧品やメイクで改善可能なクマはこちらです。

◯ 茶クマの一部

改善のための具体的な方法を解説いたします。

2-2-1. スキンケア方法の改善【茶クマ対策(刺激による色素沈着)】

茶クマ(色素沈着)の原因の「機械的刺激」(こするなどの刺激のこと)を徹底的に注意することが大切です。

◯ 目周りのメイクをする
◯ 目周りのメイクを落とす
◯ 洗顔する

上記のスキンケアは特に優しく目周りに触れるよう気をつけましょう。
また、予定によっては、そもそも目周りのメイクをしない日をつくったりするのも目周りの刺激を軽減する方法としていいでしょう。

これを1年続ければ、刺激が原因の茶クマはかなり良くなります。
もしこれで良くならなければ、ADM/SDMや他の種類のくまの可能性が高いので、クリニックや病院で相談してみましょう。

2-3. 目の下のくま(クマ)の消し方・治し方 ~メイク用品編 コンシーラー・ファンデーションなど~

4種類の目の下のくま(クマ)には、「メイクで改善可能なクマ」と「メイクでは改善が難しいクマ」があります。

コンシーラで改善可能なクマはこちらです。

◯ 茶クマの一部
◯ 青クマの一部
◯ 赤クマの一部

改善のための具体的な方法を解説いたします。

2-3-1. コンシーラ【茶クマ・青クマ・赤クマ対策】

すでにコンシーラーをお使いの方は、コンシーラの効果を強く実感されていらっしゃると思います。
コンシーラーは強力な武器です。
茶クマ・青クマ・赤クマと、多くの目の下のくま(クマ)をカバーしてくれます。

しかし、残念なことにコンシーラはくま自体を治すことは出来ません。
「目の下のくま(クマ)と上手に付き合っていくための心強いアイテム」と割り切り使用しましょう。

2-4. 目の下のくま(クマ)の消し方・治し方 ~ 薬編 ~

4種類の目の下のくま(クマ)には、「お薬で改善可能なクマ」と「お薬では改善が難しいクマ」があります。

お薬で改善可能なクマはこちらです。

◯ 青クマの一部

改善のための具体的な方法を解説いたします。

2-4-1.ヘパリン類似物質(ヒルドイド・ビーソフテンなど)【青クマ対策】

ヘパリン類似物質は血流をよくする効果のある外用薬(塗り薬のこと)です。
ヘパリン類似物質で有名なものに「ヒルドイド」や「ビーソフテン」といった名前の物があります。
どの名前でも「ヘパリン類似物質」と書いてあれば、基本的には効果はよく似ています。

ヘパリン類似物質は血流を良くする作用があるので、青クマにマイルドな効果があります。
もう一度言います、「マイルドな効果」です。
残念ながらヘパリン類似物質で、「青クマがスッキリとなくなった!」という効果は期待できませんのでご注意を。

注意:目の下のくま(クマ)では、ヒルドイド・ビーソフテン・ヘパリン類似物質を保険診療で処方できません。
保険診療での処方を、医師に要求しないようお願いいたします。
自費での購入または、薬局などのでヘパリン類似物質の市販品のご購入をお願いいたします。

詳しくは以下の記事で紹介しています。

【目の下のくま治療薬】ヒルドイド(ビーソフテン、ヘパリン類似物質)を皮膚科医がわかりやすく解説

2-5. 目の下のくま(クマ)の消し方・治し方 ~クリニック治療編 レーザー、注射、手術など~

4種類の目の下のくま(クマ)には、「クリニックで改善可能なクマ」があります。

クリニックで改善可能なクマはこちらです。

◯ 黒クマ

改善のための具体的な方法を解説いたします。

2-5-1. 経結膜脱脂法(手術):黒クマ

黒クマの抜本的な解決法は、経結膜脱脂法(けいけつまくだっしほう)が選択されることが多いです。

3. 目の下のくま(クマ)と病気は関係あるの?

目の下のくま(クマ)の原因について、すでに説明しましたが、病気と目の下のくま(クマ)が関係あるのではないかと、不安になってしまっている人も多いようです。

実際は、目の下のくま(クマ)と病気はほとんど関係ありません。
病気になって、顔色が悪くなったり、痩せたりすることで、目の下のくま(クマ)が出て来ることは、多いですが、多くの場合、他の症状を伴います。

直接的な関連があるのは、ADM/SDM(病気というよりもただのシミですが)やバセドウ病は関係があります。
茶クマは、ADM/SDMが原因の場合があります。

バセドウ病は、眼球突出という症状があります。
バセドウ病の軽症例では、眼窩脂肪(目の周りの脂肪)が突出して、黒クマ(影クマ)の原因になります。重症例では、くまというよりも目が飛び出そうな感じに見えます。

詳しくは、以下の記事で紹介しています。

目の下のくま(クマ)は病気の兆候??医師がわかりやすく解説

監修医師

西川嘉一
Hirokazu Nishikawa

目の下のクマ・ニキビ・美肌の専門家。美容皮膚科医。東京大学医学部卒業。

クマ治療など、手がけた美容の症例は1万件を超えている。

大手美容クリニック銀座院の院長を経て、2017年『Acne Studio(アクネスタジオ)』を開院。
現在、渋谷・梅田の2院で、クマ治療やニキビ治療に取り組んでいる。