【目の下のくま(クマ)治療 ヒアルロン酸】美容皮膚科スタッフが解説・効果・副作用
2018-04-01更新
目の下のくま(クマ)って、気になりますよね。
そんなくま(クマ)が美容成分でも有名な「ヒアルロン酸」を皮膚に注入すると治るってご存知ですか?
ここでは目の下のくま(クマ)とヒアルロン酸注入の治療法について、美容皮膚科スタッフが解説していきます。
美容皮膚科で勤務していると、よくこんなお悩みをお伺いします。
「なんだかこの頃メイクののりが悪いせいなのか、目の下のくま(クマ)が気になるの」
「会社の同僚に「寝てないの?くま(クマ)ひどいよ」と言われることがあって…。」
「クマを隠すためにメイクを厚塗りして隠すのは嫌だし…どうしたらいいのかしら?!」
特に30代後半の方から、このようなお悩み伺うことが多いです。
目の下にくま(クマ)があると、体調は悪くないのに、疲れた顔に見えるので、周囲の人から心配されてしまうこともあるかもしれません。
そんな悩みを解決する方法のひとつにヒアルロン酸があります。
しかし実は目の下のくま(クマ)にはいくつかの種類があり、どの種類のくま(クマ)にもヒアルロン酸が効果的というわけではありません。
ヒアルロン酸治療で効果がでるくま(クマ)は「目の下に膨らみがないタイプの黒くま(クマ)」です。
Index
そもそもヒアルロン酸ってどんな成分なの?
耳馴染みのあるヒアルロン酸ですが、そもそもどんな成分なのか、といわれると「ん?」となりますよね。
ヒアルロン酸とは、水分を蓄える働きのある粘着性のあるムコ多糖類の一種で、私たちの身体の中のあらゆる部位に存在しています。
潤いのあるみずみずしい肌をつくる成分であることはもちろん、その他にも、関節を滑らかに動かす、眼球の丸みを維持するなどの働きをしています。
ヒアルロン酸の使われ方は?
ヒアルロン酸は、保水化粧水やドライアイ改善用の目薬などの市販品に配合されています。
また、医療の現場では、加齢によってヒアルロン酸が減少しておこる膝、肘などの関節の痛みや炎症を和らげる為の注射液、角結膜上皮障害や眼病の術後ケアの為の目薬として使われています。
ヒアルロン酸がなぜ目の下のくま(クマ)と関係があるの?
残念なことに、ヒアルロン酸は年齢とともに徐々に減少してしまいます。
赤ちゃんのほっぺがふっくらしているのは、非常にたくさんのヒアルロン酸が皮膚の内部にあるからです。しかしヒアルロン酸は13歳くらいから徐々に減少が始まり、40代後半からは急激に減少してしまいます。その為、30代後半になると皮膚がたるんでくま(クマ)になりやすくなってしまうのです。
ヒアルロン酸治療が効果アリなくま(クマ)・効果ナシのくま(クマ)は?
目の下のくま(クマ)にはいくつかの種類があり、見た目もくま(クマ)ができる原因も異なります。
ヒアルロン酸が効果的なくま(クマ)であるかどうかを知る為に、それぞれのくま(クマ)の特徴を確認していきましょう。
✦ヒアルロン酸が効果アリのくま(クマ)
⇒目の下が膨らんでいない黒くま(クマ)・へこみでできている黒くま(クマ)
黒くま(クマ)は皮膚の凹凸による影が作るくま(クマ)です。
皮膚の色がくすんでできるタイプのくま(クマ)は、メイクアップでカバーすることもできます。
しかし黒くま(クマ)は皮膚の凹凸による影なので、メイクで画すことができません。
皮膚が影を作ってしまう原因は、主に2つ挙げられます。
その解説をします。
原因① 筋肉の衰え
目の周囲の皮膚がたるんだ結果、その影が黒くま(クマ)を作ってしまうことです。
皮膚がたるんでしまう理由は、眼輪筋という目の周りにある筋肉の衰えです。筋肉の衰えによって靭帯が伸びてしまい、いわゆるゴルゴラインと呼ばれる目がしらから頬にかけて斜めに伸びる線状のくぼみができ、それが影を作って黒くま(クマ)になってしまうのです。
眼輪筋は表情筋のひとつで、目元の表情を作る、目を閉じたり開いたりするなどの働きをする筋肉です。眼輪筋は加齢によっても衰えますが、無表情な人や仕事上集中して目を使う人は、眼輪筋が硬くなりやすい為、若くても衰えやすいので注意が必要です。
ただし、眼輪筋の衰えによって眼窩脂肪が支えられなくなって涙袋ができ、目の下に膨らみが出てしまっているようなケースでは、ヒアルロン酸注入は効果が出ません。
眼窩脂肪とは、眼球が入っている穴と眼球の間にある脂肪で、クッションのような働きをして目を守っている脂肪のことです。本来眼球の下にある眼窩脂肪が皮膚のたるみによって前に出てきてしまっている場合は、目の下の脂肪を除去する治療が必要です。
原因②脂肪が少ない
目の周囲の皮膚にへこみができた結果、ゴルゴラインと呼ばれる目がしらから頬にかけて斜めに伸びる線状のくぼみがつくる影ができてしまいます。
へこみができる理由は、目の下のくぼみができている部分をふっくらさせるだけのsoofという眼窩下の皮下脂肪が不足している為です。
加齢によってもこの皮下脂肪は減少しますが、もともと目の下の皮下脂肪が少ない人もいます。このような場合には、ヒアルロン酸を注入することによって目の下に膨らみを持たせることで黒くま(クマ)を改善することができます。
✦ヒアルロン酸では改善できないくま(クマ)
目の下に膨らみのある黒くま(クマ)・茶くま(クマ)・青くま(クマ)・赤くま(クマ)
・
残念ながら、膨らみのある黒くま(クマ)・茶くま(クマ)・青くま(クマ)・赤くま(クマ)には効果がありません。
なぜ効果がないのか、解説します。
✦目の下に膨らみのある黒くま(クマ)に効かない理由
目の下に膨らみが出てしまっている黒くま(クマ)は、膨らみそのものをなくす治療をしないと、改善しません。
✦茶くま(クマ)に効かない理由
茶くま(クマ)の色素沈着が原因です。色素沈着がおこる理由には、紫外線の悪影響、乾燥や化粧品の刺激による皮膚炎があげられます。
目の下だけではなくまぶたにできることもあります。美白化粧品やレーザー治療が有効です。
✦青くま(クマ)に効かない理由
青くま(クマ)は、目の周囲の血液の循環の悪さが作るくま(クマ)です。
血液の循環が悪くなる原因としては、ホルモンや自律神経のバランス、栄養状態、疲労や睡眠の質、ストレスなど日常生活の中で発生する体調の変化に加えて、仕事や趣味で目を酷使し続けていることが考えられます。
目の周囲の血液の循環を良くすることが、青くま(クマ)の改善に繋がります。
質の良い睡眠をとる、営養バランスを調える、身体を冷やさないようにするなど、生活習慣の見直しが必要です。
改善の方法としては、炭酸ガスメソセラピーや血流を良くする治療目の周囲のマッサージや血行を良くするアイクリームが効果的です。
✦赤くま(クマ)に効かない理由
赤くま(クマ)とは、黒くま(クマ)と同じように目の周囲の筋肉の衰えと、青くま(クマ)と同じように目の周りに血液の循環の悪さが作るくま(クマ)です。
黒くま(クマ)青くま(クマ)との違いは、まぶたの周りの筋肉が透けて見えて赤く腫れぼったい感じのくま(クマ)になることです。
血液の循環を良くすることと、表情筋、特に目の周囲の眼輪筋を鍛える為のトレーニングが赤くま(クマ)の改善に効果的です。医療施設で行われる目の下の脂肪除去と、除去した脂肪を再度注入する治療を受けるという選択肢もあります。
ヒアルロン酸注入の失敗例
くま(クマ)の治療にはヒアルロン酸注入という治療法が非常に効果的ですが、必ず良い結果が得られるわけではありません。
良い結果が得られないとはどのようなケースなのか確認しておきましょう。
くま(クマ)の症状にあっていないのに、ヒアルロン酸を注入してしまった
くま(クマ)には、大きく分けて黒くま(クマ)・茶くま(クマ)・青くま(クマ)・赤くま(クマ)という4種類があります。
このうち、ヒアルロン酸が効果を上げるのは、目の下に膨らみのなく、目の下のたるみが作るくぼみの影が原因でできる黒くま(クマ)だけです。
したがって、黒くま(クマ)以外の茶くま(クマ)、青くま(クマ)、赤くま(クマ)にヒアルロン酸注入を行っても、くま(クマ)を治すことはできません。
ヒアルロン酸を入れすぎてしまった
皮膚のたるみが作ったくぼみにヒアルロン酸を注入してたるみを改善することが治療の目的です。ところが、ヒアルロン酸の量が多いと、水分を抱え込む性質の多いヒアルロン酸が水分を抱え込んで重くなり、さらに目の下をたるませ、不自然なふくらみを作ってしまうことがあります。
このような場合には、再度治療を受け、ヒアルロニダーゼというヒアルロン酸を溶かす働きのあるヒアルロン酸分解酵素の注射が必要です。
入れる層が浅すぎる
ヒアルロン酸を注入する場合、注入する箇所によって注入する層を医師か注意深く見定めて行います。なぜなら、浅すぎる場所に注入してしまうと、白く持ち上がってしまうなど、肌の表面にヒアルロン酸注入の痕跡が見えてしまうからです。
ヒアルロン酸の作用
ヒアルロン酸の効果・作用はどのようなものなのか、ここで解説します。
凹みを埋める
ヒアルロン酸が凹みによる黒くま(クマ)やほうれい線、こけた頬などの改善に役立つ理由は、ヒアルロン酸が凹みを埋めてその部位をふっくらさせるからです。
半年から1年でなくなる
ヒアルロン酸注入は、根本的な治療方法(肌細胞移植などの再生治療)とは違い、対症療法に対して使われる手段です。その為、一度ヒアルロン酸を注入したからといって、その効果が一生続くということはありません。
医療に使われるヒアルロン酸には様々な種類があり、治療に使われるヒアルロン酸の種類によって持続期間が異なりますが、おおよそ半年~1年効果が持続します。
ヒアルロン酸の副作用やトラブル
ヒアルロン酸は、もともと私たちの体内に存在する物質なので、副作用がおこる可能性は極めて低く、安全性の高い成分です。しかし、注入する部位に合わないヒアルロン酸を注入する、ヒアルロン酸注入を行う医師のテクニックのレベルが低いというような場合には、良い結果を得られずトラブルが発生してしまうこともあります。
凸凹
目の周りの皮膚は顔の他の部分より薄い為、ヒアルロン酸が均等に注入されないと、凸凹になってしまいます。また、何度も繰り返すことでヒアルロン酸が体内に吸収されず、しこりができ、その部分が凸凹になってしまうこともあります。
痛み
注入時に痛みがあります。痛みが気になる人に向けて痛み止めの貼り薬や麻酔入りのヒアルロン酸を使用することもあります。
また、ごくまれにヒアルロン酸を注入する際に、細菌が混入してしまい、感染症をおこしてしまうと、腫れや痛みがおこることがあります。このような場合にはヒアルロニダーゼというヒアルロン酸を溶かす働きのあるヒアルロン酸分解酵素の注射が必要です。
腫れ
注入時に針で毛細血管に傷をつけてしまい内出血がおこると、ヒアルロン酸の水分を取り込む性質によって腫れたり、しこりになったりすることがあります。
内出血
注入時に針で毛細血管に傷をつけてしまい内出血することがあります。
血行障害
目の下の黒くま(クマ)治療ではほとんど起こることはありませんが、注入する際に血管内にヒアルロン酸が入ってしまうことがあります。その結果、ヒアルロン酸が血管を圧迫し、血液の循環を滞らせてしまうことがあります。血液の循環が滞ると、皮膚の色が青黒く変色する、痛みが出る、皮膚が壊死する、失明するなどのトラブルが発生する恐れがあります。
ヒアルロン酸注入の手順
目の下のくま(クマ)にヒアルロン酸を注入する際の診察や、治療までの流れをご紹介します。
※クリニックにより多少異なる場合があるので、ご了承下さい。
カウンセリング
ヒアルロン酸注入は、注入する部位、注入するヒアルロン酸の量によって結果が変わってきます。その為、カウンセリングは、目の下のくま(クマ)の状況と、治療を受ける本人が感じている悩みと希望を医師が確認する為に丁寧に行われます。カウンセリングの内容に合わせて、注入する部位、注入するヒアルロン酸の量を決めます。
デザイン
ヒアルロン酸注入の前に、仕上がりイメージのマーキングをします。
注入
麻酔薬や貼り薬などクリニックによって痛み止めの方法は異なりますが、痛み止めを使った後、ヒアルロン酸注入を行います。
おすすめのヒアルロン酸の種類
ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸注入の目的や部位によって、適切なヒアルロン酸を選ぶことが必要です。
頬のリフトアップなどには硬めのヒアルロン酸が使われますが、目の下のくま(クマ)の治療には薄い皮膚にあう粒子が細かく、柔らかいヒアルロン酸が使われることが多いです。
レスチレン・パーレン
スウェーデンのQ―Med社が製造している0.3%の局所麻酔薬リドカインが含まれている合成ヒアルロン酸です。
C群連鎖球菌をブドウ糖、酵母エキス、大豆ペプトンなどを培養して作られたヒアルロン酸ナトリウムを抽出、精製し、独自の技術で安定化させた製品です。
安定化させたヒアルロン酸とは、長期持続効果、非動物製剤である為にアレルギー反応がおこりにくいなどの特徴を持つヒアルロン酸のことです。
ジュビダームウルトラ・ウルトラプラス・ボリューマ
フランスに自社製造工場を持つアラガン社が製造している0.3%の局所麻酔薬リドカインが含まれている合成ヒアルロン酸です。
高分子量と低分子量のヒアルロン酸を混合して作られている為、酵素分解されにくく効果が長期に渡り実感できるのが特徴です。
また、くぼみやへこみを補充する効果の高く、注入後に現れた効果が変形しにくい、ヒアルロン酸の水分を抱え込む性質を抑えてある為、膨らみ過ぎてしまうリスクをない、人間の組織への親和性が高い為、自然な仕上がりになるなどの特性もあります。
その他
スイスのテオキサンラボラトリー社が製造している目の周囲に特化したヒアルロン酸テオシアル・ピュアセンス リデンシティー【Ⅱ】、ドイツのメルツ社が製造している目の下のくぼみや小じわに適した柔らかさを持つベロテロソフトなどがあります。
ヒアルロン酸以外に目の下のくま(クマ)に効く治療
肌の再生治療
肌の再生治療は、自分の真皮にある線維芽細胞を増殖させて、再び肌に移植し肌を再生させる治療です。
目の下の黒くま(クマ)の部分に肌細胞を移植し、皮膚を厚くすることで黒くま(クマ)を改善するという方法があります。
◯サーマクール(ヒアルロン酸注入と併用するケースが多いです)
⇒特殊な器機を用いて高周波をあて、肌のハリと弾力を維持するコラーゲンが肌の内部で作られるように促します。
◯ウルセラ(ヒアルロン酸注入と併用するケースが多いです)
⇒特殊な器機を用いて超音波をあて、目の下の筋肉を引き締めます。
まとめ
ヒアルロン酸注入は、目の下に膨らみがない黒くま(クマ)には、非常に有効な治療法です。
ただし、使用するヒアルロン酸の種類、分量、医師のテクニックによって結果が大きく変わる治療であることも覚えておきましょう。
監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
目の下のクマ・ニキビ・美肌の専門家。美容皮膚科医。東京大学医学部卒業。
クマ治療など、手がけた美容の症例は1万件を超えている。
大手美容クリニック銀座院の院長を経て、2017年『Acne Studio(アクネスタジオ)』を開院。
現在、渋谷・梅田の2院で、クマ治療やニキビ治療に取り組んでいる。
- 監修医師プロフィール
- 『Acnestudio』統括院長 アクネスタジオ公式サイト
- 『ニキビLabo』監修医師 ニキビ情報サイト ニキビLabo