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監修:西川嘉一医師 クマ治療、ニキビ治療の専門家。美容皮膚科医。東大医学部卒。

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目の下のクマを改善!下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)について医師が解説

疲れた印象や、老けて見える原因となる目の下のクマ。 できれば改善したいですよね。 今回は目の下のクマを根本的に改善する手術、下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)について医師が解説します。 1. 下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)ってどんな治療? 目の下の膨らみが目立ち、疲れて見える・クマがあるように見えるという方に最適な手術です。
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疲れた印象や、老けて見える原因となる目の下のクマ。 できれば改善したいですよね。
今回は目の下のクマを根本的に改善する手術、下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)について解説します。

1. 下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)ってどんな治療?

 

目の下の膨らみが目立ち、疲れて見える・クマがあるように見えるという方に最適な手術です。
下まぶたの裏側にレーザーなどで小さな穴をあけ、余分な脂肪を取り出します。
傷口は瞼の裏側のみで、皮膚を切開することはありません。また、術後に縫合の必要がなく、抜糸などで通院する必要もありません。
多少へこみが気になる場合には、脂肪注入・ヒアルロン酸注入・コラーゲン注入などを併せて行うと仕上がりが綺麗です。

 

2. どんな人が向いているの?

目の下のくまには黒クマ(影クマ)・茶クマ・青クマ・赤クマの4種類があります。
下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)が有効なクマは黒クマ(影クマ)です。
それぞれのクマの原因と改善方法をまとめました。

2-1.黒クマ(影クマ)

黒クマ(影クマ) 黒クマの正体は「目の下に出来た影」で影クマとも呼ばれます。
まぶたの内側には眼輪筋(がんりんきん)という筋肉があり、更にその内側には眼窩脂肪(がんかしぼう)と呼ばれる目周りの脂肪があります。 年齢を重ねると、眼輪筋(がんりんきん)の緩みや、目周りの皮膚のたるみによって、眼窩脂肪(がんかしぼう)が前方向に飛び出してきます。 眼輪筋(がんりんきん)が前に飛び出すことで、目の下に膨らみ(目袋)が出現し、その影により目の下が暗くなります。

どうして飛び出てくるの?

眼窩脂肪が飛び出てくる主な理由は3つです。

◯ 眼窩脂肪の量が多い
◯ 眼球を支える靭帯(ロックウッド靭帯Lockwood ligament・眼窩隔膜)の緩み
◯ 目周りの筋肉「眼輪筋」(がんりんきん)の緩み

などによって、目の下の脂肪が飛び出てきます。

【眼窩脂肪が飛び出る前のイメージ】

【眼窩脂肪が飛び出たときのイメージ】

黒クマ(眼窩脂肪)の出現を実感するタイミングは20代後半あたりからが多いのですが、まれに小・中学生くらいから出現している方もいます。
これは遺伝要因が関係していると考えられます。
また、もちろん40~50代から黒クマが出現する方もいます。

年令によって原因が違う?

黒クマ(影クマ)は、出現する年代によって原因が異なります。

◯ 小・中学生から黒クマがある場合
  ⇒遺伝的に眼窩脂肪の量が多い方

◯ 20~30代で黒クマが出現した場合
  ⇒眼窩脂肪の量がやや多めで、年齢とともにロックウッド靭帯・眼窩隔膜や眼輪筋の緩みが発生し黒クマが出現

◯ 40~50代以降で黒クマが出現する場合
  ⇒眼窩脂肪の量が多いというよりも、ロックウッド靭帯・眼窩隔膜や眼輪筋の緩みが主体になり黒クマが出現

どの年代で出現する場合も、加齢と共に症状は悪化してきます。

どんな方法で治療するの?

黒クマの治療法大きく分けて2つあります。

◯ 眼窩脂肪を減らす(手術や注射など)
◯ 眼輪筋を鍛える(眼輪筋トレーニング・EMSなど)

眼輪筋トレーニングは、効果がある人もない人もいます。
また、眼輪筋トレーニングを頑張りすぎると、目の下のちりめんジワが増えてしまうというデメリットもあります。

20代~30代の早いうちに下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)の治療を行うことで将来のアンチエイジング効果も期待できます。
黒クマ(影クマ)の根本的な改善には眼窩脂肪を減らす手術、「下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)」が有効です。

2-2. 茶クマ

 

茶色は皮膚の色素であるメラニンの色です。
メラニンは日焼けなどによっても増えますが、目の周りだけ増えるのは、2つの原因が多いです。

◯ メイクや洗顔などによる刺激
◯ ADM/SDM(後天性/対称性真皮メラノサイトーシス)

目周りは皮膚が薄いエリアで、メイクや洗顔などの刺激で色素沈着しやすい場所です。
花粉症などでよくこすってしまう人も目周りに色素沈着が起きやすいです。
皮膚自体に色素が沈着しているため、皮膚を動かしても色が変わらないのが特徴です。
刺激による色素沈着は、単純に刺激をなくせば時間とともに薄くなります。

どんな方法で治療するの?

ADM/SDMは真皮という部分にメラニンが溜まってしまう状態です。
ADM/SDMに対する根本治療は、レーザー治療のみです。
ADM/SDMを濃くしないための対策としては、日焼けを避けることが挙げられます。

治療ではありませんが、メイクでカバーできるのも茶クマの特徴です。

2-3. 青クマ

 

青クマは目の下の皮膚が薄く筋肉の色が透けて見える事や、血流が悪く静脈内に停滞した血液が青黒く透けて見える事が原因です。

もともと皮膚が薄い人は10代でも青クマがみられます。
特に皮膚の色が白めの方も、色も薄く皮膚が薄い傾向が高いため、青クマが発生しやすいです。
年齢を重ねることで皮膚は薄くなっていくので、年齢とともに青クマが出現する人もいます。

また、寒いと血流が悪くなるので、冬に悪化するのも青クマの特徴です。

どんな方法で治療するの?

対策は大きく分けて2つあります。

◯ 色を隠す(メイク、保湿、注射など)
◯ 眼輪筋の血流を良くする(マッサージ、温める、薬など)

皮膚を物理的に分厚くするのは難しいので、メイクなどで色を隠すのが手軽にできる方法です。
眼輪筋の血流を良くするのは、一時的には可能ですが、長時間血流を良くし続けるのは難しいので、あまり推奨していません。
特にマッサージは頑張りすぎると、茶クマ(色素沈着)の原因となってしまうため、注意が必要です。

2-4. 赤クマ

 

赤クマの原因は、青クマと似ています。

皮膚が薄く、血行のいい目の下の筋肉(眼輪筋)の色が透けて見えてしまう状態です。
動脈の血の色(酸素の多い血の色)は赤です。
酸素の多い血の色を反映しているのが赤クマです。

どんな方法で対策・治療するの?

◯ 色を隠す(メイク、保湿、注射など) 

3.手術方法

3-1.手術の流れ

クリニックによって多少異なりますが、概ね次のような手順で行われます。

1マーキング
 お顔の状態に合わせて、余分な脂肪のみをしっかりと、適切な量取り出すようデザインします。
2消毒
 施術部位を清潔な状態にします。
3局所麻酔(通常、点眼麻酔と注射による局所麻酔を使用します。クリニックによっては笑気麻酔なども使用します。)
  点眼麻酔をある程度効かせてから、瞼の裏側に注射による局所麻酔を行います。
  非常に細い針で注射するのであまり痛みは感じません。
4下瞼を裏返して固定する
 通常目を閉じた状態で、ガーゼで目隠しをして行います。何も見えないので怖くありません。
5結膜にメスなどで穴を開ける
 クリニックによって0.5cm~2cm程度程度、メスで切開する場合と、レーザーを使用する場合があります。
6目の下の余分な脂肪を取り出す
7電気メスなどで止血する

施術時間は20分程度です。

3-2.脂肪の取り出し方

脂肪の取り出し方には以下の2つの手法があります。

3-2-1.隔膜前アプローチ

眼輪筋直下の隔膜前からアプローチして脂肪を取り出します。
目頭側・中央・目尻側と、各部位の余分な脂肪を確認しながら除去する為、より正確な場所から、適切な量の脂肪を取り出す事ができます。
また、眼筋などを傷付けるリスクがより低くなり、より安全性の高い手法です。

3-2-2.直接アプローチ

下まぶたの裏側を0.5cm~2cm程度 切開し、脂肪を取り出す一般的な方法です。

たるみが軽度で、より手軽に目の下のクマを改善したい方にお勧めの方法です。

4. 術後経過

術後のダウンタイムについて、クリニックによって多少案内が異なります。
西川のクリニックでは、概ね次のような案内をしています。

4-1.治療による腫れ・痛みなど

○ 腫れ 個人差はありますが、2日~1週間で落ち着きます。腫れのピークは翌日です。
人と会っても分からない程度の腫れで済む方もたくさんいます。
より自然になるまで更に1~2週間を要します。
○ 内出血 治療後1~2週間位、内出血により赤紫色になることがあります。

4-2.治療後の注意事項

○ 短時間のシャワーは当日から可能です。
○ 洗髪、入浴、洗顔、化粧は翌日から可能です。(痛みや腫れ、滲みるなどの症状がある場合は2~3日間様子を見てください。)
○ 当日は本やテレビを見ないでゆっくりと休んでください。
○ コンタクトレンズの使用はハードが一週間後、ソフトは翌日から使用可能です。

以上のような注意事項があるので、ご自身の都合に合わせて、ダウンタイムの取れる時に手術を検討すると良いでしょう。

5.他の治療との比較

5-1.脂肪注入

通常、黒クマ(影クマ)は目の下の脂肪が多く、影になっていることが原因で起こりますが、目の下がくぼんでいることが原因の黒クマもあります。
加齢と共に目の下がくぼみ、頬のくぼみ(ゴルゴライン)と近い為、全体がへこんで見えるタイプなどは脂肪注入やヒアルロン酸注入が適しています。
また、目の下の膨らみとくぼみ両方が原因の方は、下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)とあわせて脂肪注入やヒアルロン酸注入を行うことでしっかりとクマが解消されます。
脂肪注入は自身の脂肪を採取し、遠心分離機で濃縮したものを注入します。

メリットとしては

1自分自身から採取した細胞を注入するため安全性が高く、異物反応がない
2注入のみでメスを使わないため、傷口が残らない
3定着した脂肪に関しては、半永久的に効果が持続する

などが挙げられます。

クリニックによって、目の下のたるみから採取した眼窩脂肪のみを使用する場合と、お腹や太ももから採取した脂肪を使う場合があります。
ただし、眼窩脂肪では足りない場合や、追加注入が必要となった場合にはお腹や太ももからの採取が必要です。

デメリットとしては

1脂肪を採取するため、ヒアルロン酸注入などに比べれば手軽でない
2大きな塊で注入した場合、一定量は壊死・線維化して、しこりとなることがある
3定着せず吸収される量が多かった場合には、凸凹やくぼみが残ることがある

などが挙げられます。

しこりや、凸凹が残らないよう、丁寧な施術を行うクリニック選びが大切です。
費用は20万円~40万円位のクリニックが多いようです。

5-2.ヒアルロン酸注入

脂肪注入と同じように、加齢で頬がたるむこと等による、目の下の窪み・へこみが原因で出来る黒クマ(影クマ)に対して行われることが多いです。
目の下のくぼみを面で持ち上げ、クマを改善すると共に目元をふっくらとした印象にします。

メリットとしては

1施術時間が短く、メスも使用しない為、手術に抵抗のある人などにも適している
2傷口は針穴のみで、跡が残らない 3満足できなかった場合には、溶かす注射で元に戻すことが出来る

デメリットとしては

1持続が半年~1年ほど(ヒアルロン酸の種類による)で、繰り返しの施術が必要

費用は1本1ccで5万円~10万円位ですが、必要な量は個人差があるので、診察の際にしっかりと確認すると良いでしょう。

5-3.PRP・成長因子

PRP療法とは、自分の血液から抽出した、血小板を多く含む多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)を注入し、皮膚の若返りを図る再生医療です。
採取した血液を遠心分離機に掛け、濃縮された血小板のみを抽出します。 これを注入することによって、血小板から放出される自己成長因子がコラーゲンの生成を積極的に行い、皮膚の若返りを図ります。

メリットは

1自分の血液から抽出した成分を使用するため、血液を詰まらせてしまう塞栓症のリスクが低い
2ヒアルロン酸のように単にヘコミを膨らませるだけでなく、肌質も改善される

費用は5万円~40万円位。 持続はクリニック差や個人差が大きいです。

5-4.レーザーなどの照射系処置

5-4-1.ジェネシス(YAGレーザーピーリング)

レーザーピーリング効果により、ターンオーバーを促進させる共に、真皮層にある線維芽細胞を刺激することでコラーゲンを増やします。
血行不良による青クマにマイルドな効果があります。

費用は1回2万円から5万円位のクリニックが多いようです。

5-4-2.ライムライト

ライムライトはレーザーではなく、日本人の肌に合わせて開発された光(IPL)治療です。
日本人に多い薄いシミに効果的です。 コラーゲンの生成を促しハリを出したり、メラニン色素の排出を促し、ターンオーバーを促進させます。
色素沈着が原因の茶クマの解消にマイルドな効果があります。

費用は3万円前後のクリニックが多いようです。

5-4-3.サーマクール

サーマクールはRFという高周波(ラジオ波)を照射し、皮膚の深部に熱を与えます。
これにより、コラーゲンを生成し、たるみを改善したり、ハリを出すことで黒クマの解消を目指します。

費用はお顔全体の照射で1回6万円~15万円程と少し高く感じますが、照射間隔が通常3-6ヶ月毎です。

5-4-4.テノール

テノールはRFという高周波(ラジオ波)を照射し、リンパと血液の流れを促進させると共に、コラーゲンの生成やターンオーバーの促進を行います。
血行不良による青クマや、目の下のたるみによる黒クマにマイルドな効果があります。

費用は1万円~3万円位のクリニックが多いようです。

5-5.外用薬

5-5-1.ハイドロキノンクリーム

ハイドロキノンは「お肌の漂白剤・シミの消しゴム」などとも呼ばれるお薬です。
メラニンの還元作用が非常に強く、目の下のクマとして既に沈着しているメラニン色素にも働きかけることが出来るとされています。
ビタミンC誘導体など他の美白成分にも還元作用はありますが、ハイドロキノンのほうが強力です。
また、メラニンを作り出す細胞「メラノサイト」に対して毒性を持っているため、メラノサイトを弱らせることでメラニンの生成を抑え、色素沈着の予防にもなります。

費用は2千円~5千円位。濃度によっても価格が異なります。
非常に強い成分なので、医師の指示に従って適切に使用してください。

5-5-2.トレチノイン配合軟膏

トレチノインはビタミンC誘導体で、元々人の皮膚に栄養として存在しています。
トレチノインには他にも様々な効果がありますが、皮膚の代謝を高めターンオーバーを早める効果により、色素沈着の茶クマにマイルドな効果があります。

費用は3千円前後です。個人輸入なども出来ますが、副作用のリスクもあるお薬です。処方を受け、ご自身の症状にあったものを適切に使用する事をお勧めします。

6.まとめ

今回は黒クマ(影クマ)の根本治療である、下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)について解説しました。
手術は「怖い」と感じられる方もいらっしゃいますが、下眼瞼脱脂(経結膜脱脂術)は施術時間も短く、傷跡も残らない手術です。
また、費用が高いと感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、治療した場合と治療しなかった場合の脂肪の差は永続的です。
繰り返し治療が必要な方法に比べ、結果的にはリーズナブルな方法です。
また、脂肪によるクマをそのままにしておくと、結果的に脂肪と一緒に皮膚がたるみ、将来的に切開によるたるみ取りの手術を行うことが必要になる方が多いです。
目の下のクマでお悩みの方は一度クリニックで相談してみると良いでしょう。

監修医師

西川嘉一
Hirokazu Nishikawa

目の下のクマ・ニキビ・美肌の専門家。美容皮膚科医。東京大学医学部卒業。

クマ治療など、手がけた美容の症例は1万件を超えている。

大手美容クリニック銀座院の院長を経て、2017年『Acne Studio(アクネスタジオ)』を開院。
現在、渋谷・梅田の2院で、クマ治療やニキビ治療に取り組んでいる。