【ニキビ・アクネ菌】正しく殺菌・スキンケア
2016-10-10更新
突如発生するにっくき「ニキビ」、実に煩わしいですね。
しかも普段きちんとスキンケアをしているのに出来てしまった時には、本当に憂鬱です。
だって出来てしまったら向こう一週間程度はお付き合いしなければならないわけですからね。
そんなにっくきニキビとは出来るものなら決別したい!という皆さんへ、正しい知識と予防法&撃退法をお話しようと思います。
1.アクネ菌ってよく聞くけど・・・どんな菌?ニキビとアクネ菌の関係
ニキビの原因は?と聞かれたら「アクネ菌」と返ってくるかと思います。(正解!)
それじゃあアクネ菌ってどんな菌?と質問されたならどうでしょうか?
おそらく殆どの人は、アクネ菌の正体やその働きについてよく知らないと思います。
ニキビの原因として叩かれることの多いアクネ菌、実はお肌の常在菌で、普段は悪さをしません。
それどころかむしろ、肌のバリア機能を守るために日夜パトロールしてくれるアナタの味方的存在です。
分かりやすく言いかえると、アクネ菌は「食品用ラップ」のようにアナタのお肌に悪い菌がつくのを防いだり、乾燥から守ってくれているのです。
しかしお肌の状態が不安定になると、増えすぎて毛穴を塞いでしまうことがあります。
さらにそこに雑菌が繁殖して・・・、ここでニキビ発生!というカラクリです。
お分かりいただけたでしょうか?
この記事の監修医師 アクネスタジオ 院長 西川嘉一 |
薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
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2.アクネ菌が潜みやすい場所は決まっている?!ポイントは「皮脂の量」
アクネ菌にとって住み心地のいい場所(=潜みやすい場所)とはどこでしょうか?
ちなみにアクネ菌のエサは「肌から分泌される皮脂」、アクネ菌の好む環境は「酸素の少ない環境」で、これらの条件が揃うと活発に繁殖します。
要するに「皮脂が詰まった毛穴」は、アクネ菌にとっては絶好の温床となるわけです。
顔は皮脂の分泌が多い以外にも、常に外気に晒されて汚れが付着しやすい場所です。
そのため顔の毛穴は身体のほかの部分よりも詰まりやすく、詰まった毛穴には雑菌が繁殖しやすいのです。これらのことからも、顔にニキビができやすい理由は明らかです。
3.アクネ菌を正しく安全に殺菌したい!殺菌成分とオススメのケア方法
アクネ菌は常在菌として存在する分にはお肌にプラスの働きをしますが、その量は多すぎても少なすぎても良くありません。
ではアクネ菌を適度に殺菌し、お肌の調子を良好に保つにはどのようにすればいいのでしょうか?
アクネ菌を正しく安全に殺菌するために有効な成分と、その方法について触れていきます。
「エタノール」
菌を「消毒・殺菌」と聞くと「消毒液」を手に取りそうですが、素人判断は危険です。
消毒液はドラッグストアや薬局で簡単に手に入るものですが、手軽に殺菌&ケアできると勘違いして、エタノール(=アルコール)をニキビに塗るのは絶対にNGです。
実は皮膚に常在する菌はアクネ菌だけではありません。
その菌たちは毛穴から排泄される皮脂や汗を栄養にしながらお互いにバランスを保つことで、お肌の調子を(弱酸性に)整えています。
これらの常在菌がいるお陰でお肌の水分バランスは保たれていますが、そこにエタノールの成分を撒いてしまったらどうなるでしょうか?
常在菌が殺菌されお肌のバリア機能は崩壊し、ニキビの症状は改善どころか悪化してしまいます。
一般的なニキビ用の化粧水には殺菌作用としてエタノールが配合されてますよね?と仰る方がいるかも知れません。しかしこれも長く使うことでお肌から潤いが失われてカサカサの乾燥肌になるのです。さらに、肌がバリア機能を保とうとして角質層を蓄積させて、結果的に毛穴が詰まりやすくなり・・・という悪循環になってしまうおそれがあります。
「サリチル酸」「イオウ」
これらは共に「アクネ菌を殺菌し、炎症を改善する」「皮脂の毛穴詰まりを防ぐ」作用があります。
しかし「古い角質を溶かして除去」するため、思春期ニキビには有効でも、大人ニキビにはおすすめできません。これは角質の取りすぎによってお肌の乾燥を招き、症状を悪化させてしまうためです。
大人ニキビには大人ニキビに適した方法があるので、正しくケアすることが大切です。
「ティーツリー」
ティーツリーオイルはオーストラリアに生育する、高さ8mほどにもなる樹木からとれるオイルです。
このオイルは「抗菌・抗真菌作用」が期待でき、ニキビに1滴たらすと翌日には赤みが消えた!という声もあります。
それでいてお肌への負担はマイルドなので、できるだけ薬に頼りたくない人や、自然派のケアをしたいという人に向いている方法です。
通常、アロマオイルは直接肌につけるのには適さないと言われますが、ティーツリーオイルは直接肌につけても無害だといわれています。
(※肌が弱い人や、不安な場合は肌の内側でパッチテストをするようにして下さい)
使用方法ですが直接肌につけることができますので、洗顔と化粧水のあと、原液を綿棒に1滴とりニキビに塗布しましょう。(1日1~2回を目安にしてください)
「ハチミツ」
ハチミツは古来より様々な効能が言い伝えられ、活躍してきた万能薬です。
それはニキビの改善や予防にも期待できます。
ハチミツには、アミノ酸・各種ビタミン・ミネラル・酵素類・ポリフェノールなどの抗酸物など数え切れないほどの栄養が含まれています。
さらにハチミツには優れた抗菌力と殺菌力があるため、炎症を抑える目的で治療に用いられてきました。
使用方法ですがニキビが出ている患部に直接塗布してOKです。そのまま放置しても、就寝しても構いませんが、べたつきが気になるなら10分程度おいてから洗い流しましょう。
(※お化粧前には洗い流すことをお勧めします)
そのほか、ハチミツは摂取することでもニキビ予防に効果が期待できます。
ニキビは内臓の不調によっても発生します。特に便秘はニキビの原因になりますが、ハチミツを摂取することで腸内環境の改善が期待できますので内側からケアできます。
なお、ハチミツは加熱すると栄養素が壊されてしまうので、なるべくそのまま食べましょう。
洗顔と保湿について
ニキビの話でスキンケアと言えば、切っても切り離せないのはこの「洗顔と保湿」。
この方法を誤ると、せっかく取り組んでいる心がけも台無しというくらい重要です。
洗顔が目指す到達点は「毛穴の汚れを(低刺激で)落としきる」というところです。
洗顔をしても汚れが落ちていない、毛穴が詰まったままである、お肌に負担がかかりすぎる、サッパリしないなどの取りこぼしがあっては意味がありません。
洗顔もスキンケアの観点で、優しく、かつきちんとするようにしましょう。
①まず手を洗う
②顔を素洗いする
③自分のお肌に合った洗顔料を使用して
④できれば「泡立てネット」を使用して
⑤しっかり「コシと弾力のある泡」を作って
④手ではなく「その泡で」洗い(※ゴシゴシしない!)
⑤泡が残らないよう「飽きるほど」流水でしっかりすすぎ
⑤タオルを顔に当てるようにして水気を取る。(※ゴシゴシするのはNG!)
これが正しい洗顔の方法です。
その後のスキンケアも必ず自分のお肌に合った「低刺激成分」のものを用いて「保湿」しましょう。
「低刺激成分の保湿」とは?
成分のことを言われても良く分かりませんよね。
ここで述べたい「低刺激成分」、ニキビケアにお勧めしたいのは「ミネラルオイル」(=鉱物油)です。
これは保湿成分ですが、身近な所ではワセリンやベビーオイルは鉱物油です。
それを聞いて年齢層も肌質も問わずに安心して使える成分だということが解る筈です。
一昔前までは「ミネラルオイル(=鉱物油)」は原料の石油成分に害があると避けらたりもしたようですが、現在は精製技術が発達したため安心して使えます。
ミネラルオイルは油膜を張ってお肌を保護してくれる作用があることからバスオイルに使われたりします。
乾燥肌の人は皮脂が足りないので、バスオイルに配合することで全身のスキンケアができるのです。
これはニキビケアにも有効で、例えば先に述べたベビーオイルは大人ニキビに効果があります。
主に乾燥が原因とされる大人ニキビには、ビタミンE誘導体による抗酸化作用・新陳代謝の促進や、ホホバオイルの約3倍の保湿力を持つベビーオイルは最適なアイテムと言えます。
使用方法ですが、1日2回、洗顔をして化粧水を付けた後に塗布します。
少量を手のひらにとって顔全体になじませるように付けて下さい。
(※通常のニキビなら2週間、ニキビ跡には1ヶ月を目安に使いましょう)
4.クリニックでアクネ菌を退治するならどんなケアがオススメ?
クリニックでは正しいスキンケアのレクチャーや、必要に応じて内服薬や外用薬の処方、それからニキビへ直接アプローチする方法でも治療します。
ニキビを作らない&増やさないためには、日々のスキンケアが大切です。また、食事・ストレスケア・睡眠時間などの生活習慣の心がけも必要です。
しかし、それでもできてしまうにっくきニキビ、ほんとうに憂鬱ですよね・・・。
そんな時には、クリニックでのケアがオススメです!
「サリチル酸マクロゴールによるピーリング」
これは皮膚に「サリチル酸マクロゴール」というピーリング剤を塗って、古い角質を取り除く治療法です。古い角質を取り除くことで、毛穴が塞がれて老廃物が詰まり雑菌が繁殖することを防ぐことでニキビをできにくくします。
ピーリング剤には様々なものがありますが、この「サリチル酸マクロゴール」はお肌の表面の角質だけを取り除くため、ダメージは最小限で済みます。
そのため、敏感肌の方でも安心して受けることができます。
しかし、ピーリング後の肌は普段よりも乾燥します。
乾燥を強く感じるとお肌は新しい角質を作ろうと働くため、アフターケア(保湿)は忘れないでください。
「光治療」
最後はニキビ跡の治療についてです。
クリニックではニキビ跡に対して「光治療」(自費診療)を行っています。
これは皮膚に直接光を照射する方法で、ニキビ跡の改善や皮膚を再生させる効果以外にも、赤みの改善や代謝を良くする働きがあります。
施術中の痛みが少なく、麻酔の必要がないのが特長です。
ただ、この治療は自費診療(健康保険が使えない)なので、事前にきちんと情報を確認するようにしましょう。
5.まとめ
ニキビができてしまった時の対処法は人によって様々だと思います。
しかし、悪化してなかなか治らなかったり、跡が残ってしまったり、繰り返したりしないためにはきちんと皮膚科のお医者さんに診てもらうことをお勧めします。
たかがニキビと侮るなかれ!
あなたのお肌はあなただけのものです、愛情をこめて丁寧にケアしていきましょう。
薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。