【レベル2・中等症赤ニキビ(炎症性皮疹)の原因&治し方】皮膚科医がわかりやすく解説
2017-02-26更新
レベル2の赤ニキビ=中等症赤ニキビとは
‘‘片側の顔に6~20個の赤ニキビがある状態‘‘を指します。
同じ6~20個でも、硬く紫色になってしまっているニキビは、紫ニキビといい、重症度が高いニキビです。
赤ニキビと紫ニキビとでは、治し方が異なります。
症状をよく見て判断しましょう。
『【紫ニキビ(嚢腫・結節型)の原因&治し方】』をあわせて読んでみましょう。
この記事の監修医師 アクネスタジオ 院長 西川嘉一 |
薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
Index
1.レベル2・中等症赤ニキビの対処法
まず皮膚科に行きましょう。同時にスキンケアも♡
レベル1・軽症の赤ニキビのファーストステップは、「まずはスキンケアを試してみる。」でした。
⇒レベル1・軽度の赤ニキビの詳しい記事はコチラです。
【軽症赤ニキビの原因&治し方】
しかし、レベル2・中等症の赤ニキビの場合のファーストステップは、「すぐ皮膚科に行く」なんです。
また、皮膚科に行くのと同時に、正しいスキンケアも大切です。
この機会にスキンケア方法も見直しましょう。
⇒ニキビ肌のためのスキンケアの詳しい記事はコチラです。
【ニキビのためのスキンケア】
2.レベル2・中等症赤ニキビの皮膚科のニキビ治療
2-1.レベル2・中等症の赤ニキビにはディフェリンゲルが基本。
【ニキビの薬】ディフェリンゲルを皮膚科医がわかりやすく解説 |
レベル2・中等症の赤ニキビでもディフェリンゲルは治療の基本となります。
ディフェリンゲルは、白ニキビから全レベルの赤ニキビ、そして膿のあるニキビまで、ほとんどのニキビに効果のある薬です。
ディフェリンゲルにプラスして、抗生物質を使用して治療することもあります。
よく使用される抗生物質は、ダラシンTゲルやデュアック配合ゲルといった外用抗菌薬(塗り薬の抗生物質)と、ビブラマイシンやミノマイシンといった内服抗菌薬(飲み薬の抗生物質)などです。
症状に応じて、適切な薬を皮膚科医が処方します。
レベル4・最重症のニキビのときや、硬い結節の紫ニキビには、ディフェリンゲルが使われないこともあります。
しかし、ほとんどのニキビに有効なので、現在ディフェリンゲルは保険治療のベースラインになっています。
ただ、副作用も多く、半分以上の人が何らかの副作用を経験します。
最も多いのは、赤み、乾燥、刺激感、そう痒感(そうようかん⇒かゆみのこと)などです。
これらの副作用がでると、
「自分には合わない」・「自分の皮膚には向いてない」
と、思うため、ディフェリンゲルでの治療を途中で諦めてしまう方が多いのが残念です。
2-2.ディフェリンゲルの代わりになる!ベピオゲルが2015年登場
【ニキビの薬】ベピオゲルを皮膚科医がわかりやすく解説 |
これまで「赤ニキビ治療=ディフェリンゲル」といっても過言ではないくらい、赤ニキビ治療のベースラインはディフェリンゲルでした。
しかし2015年、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)という外用薬(塗り薬)が登場しました。
ディフェリンゲルは副作用が強い為、治療すること自体を諦めていた人が一定数いました。
そんな「ディフェリンゲルは合わなかった」という方でも、「ベピオゲルなら使える!」という方がいるため、現在使用者が急増しています。
ただ、ベピオゲルも約40%程度の人に何らかの副作用が発生します。
なので、ベピオゲルの副作用で治療を諦めてしまう人もいます。
2-3.ディフェリンゲルとベピオゲルを併用する?しない?
ディフェリンゲルとベピオゲルを併用したほうが、ニキビがより早く治ります。
しかし副作用も強く出てしまいます。
皮膚科医にきちんと使用方法を相談しましょう。
副作用を頑張り抜ける人は、併用もOKです!
2-4.【外用抗菌薬】塗り薬の抗生物質
【ニキビの薬】デュアックを皮膚科医がわかりやすく解説 |
レベル2・中等症の赤ニキビは、アクネ菌が原因の一つです。
そのアクネ菌に対して、外用抗菌薬(がいようこうきんやく)が使用されることがあります。
外用抗菌薬とは「細菌を少なくする塗り薬」のことです。
よく使われる外用抗菌薬は
〇ダラシンTゲル
〇アクアチムクリーム
〇ゼビアックスローション
〇デュアック配合ゲル
などです。
デュアック配合ゲルとは、ダラシンTゲルとベピオゲルが配合されたもので、最近、処方数が伸びているお薬です。
ディフェリンゲルやベピオゲルの治療と、抗菌薬併用することで、治療効果が上乗せされます。
ただし、白ニキビには抗菌薬の効果は薄いので、白ニキビ治療には使用しないようにしましょう。
⇒抗生物質について詳しい記事はコチラです。
『【ニキビの薬】抗生物質を皮膚科医がわかりやすく解説』
2-5.【内服抗菌薬】飲み薬の抗生物質
【ニキビの薬】ミノマイシン・ミノサイクリンを皮膚科医がわかりやすく解説 |
レベル2・中等症の赤ニキビには、内服抗菌薬(ないふくこうきんやく)を使うことがあります。
内服抗菌薬とは、「細菌を少なくする飲み薬」の事です。
よく使われる内服抗菌薬は
〇ミノマイシン
〇ルリッド(ロキシスロマイシン)
〇ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
〇ファロム(ファロペネム)
などです。
内服抗菌薬は耐性菌出現(抗菌薬が効かない菌が発生してしまうこと)などのデメリットもあります。
抗菌薬が効かない耐性菌が出現してしまうと、
抗菌薬で細菌を減らせていたからニキビが治った。
⇓
抗菌薬を使っても細菌が減りにくい(耐性菌が出現しているから)ニキビが治りにくい。
という状況になってしまうのです。
処方されるかされないかは、症状や他の治療との組み合わせの中で決まります。
メリットが大きいと皮膚科医が判断した場合に処方されます。
⇒抗生物質について詳しい記事はコチラです。
『【ニキビの薬】抗生物質を皮膚科医がわかりやすく解説』
2-6.サプリメント(ビタミンC、ビタミンB群)・漢方薬は補助的な役割
ディフェリンゲルなどの標準治療に追加して、サプリメントや漢方薬が出されることがあります。
〇サプリメント
・シナール(ビタミンC)
・フラビタン(ビタミンB2) など
〇漢方薬
・十味敗毒湯 など
サプリメントや漢方薬は、単独で出されることは少なめです。
あくまでもディフェリンゲルなどの「標準治療」に追加して、出される補助的なお薬であることが多いです。
⇒ニキビの薬・漢方薬・十味敗毒湯の詳しい記事はコチラです。
【ニキビの薬】十味敗毒湯を皮膚科医がわかりやすく解説 |
3.レベル2・中等症赤ニキビのスキンケア
ニキビ専門皮膚科・病院でどんなにいい治療をうけても、日々のケアができていないと、なかなかニキビはよくなりません。
皮膚科で出された薬をしっかりと使い、そして正しいスキンケアをすることが大切です。
3-1.クレンジング
クレンジングでは、ミルククレンジングがまたはジェルクレンジングでしっかりと時間をかけて、メイクを落としましょう。
肌への負担を少なくするクレンジング剤はミルクまたはジェルです。
また、クレンジング剤は肌においてから1分は待って、メイクや皮脂となじんでからメイクを落としましょう。
そうすることで、肌の負担を少なくできるのとともに、毛穴の皮脂も溶けだして、ニキビにも効果があります。クレンジングを詳しく知りたい方は、【ニキビ肌クレンジング】ミルク・オイル・ジェルをランク付けと裏ワザをあわせてお読みください。
3-2.洗顔
1日2回朝・夜の泡洗顔がおすすめです。
洗いすぎは肌への負担になりますが、洗わなすぎでは角質・皮脂が溜まってしまいます。
洗顔のお肌への負担を極力少なくする、泡洗顔がもっともおすすめです。洗顔を詳しく知りたい方は、洗顔方法を皮膚科医がわかりやすく解説をあわせてお読みください。
3-3.化粧水
化粧水は洗顔後必ず使いましょう。
ニキビを抑えてくれる成分が入っていることと、刺激が強い成分が入っていないことが大切です。化粧水について詳しく知りたい方は、化粧水の選び方とケア方法をあわせてお読みください。
3-4.保湿
洗顔後、化粧水だけでもある程度の保湿はできますが、それだけでは不十分です。
ニキビのできている肌はバリア機能が低下しているため、保湿でバリア機能を補ってあげましょう。
おすすめの保湿剤はミネラルオイルやヘパリン類似物質です。保湿について詳しく知りたい方は、ニキビ肌に保湿をあわせてお読みください。
3-5.メイク
ニキビの人もメイクをしても大丈夫です。
「ニキビの人は出来る限りすっぴんでいてください」と、言われていた時代もありましたが、適切なメイクであれば、ニキビにあまり影響を与えないことがわかってきました。
ただ、リキッドファンデーションのような毛穴につまりやすいコスメは使わないようにしてくださいね。
4.レベル2・中等症赤ニキビのニキビ専門皮膚科治療
ニキビ専門皮膚科・病院ってどんなところ?
皮膚科の保険診療で思ったような効果が得られなかったときは、ニキビ専門皮膚科・病院に行ってみましょう。
日本の保険適応のニキビ治療は、主に「薬の処方」です。
また、処方できる薬にも限りがあります。
残念ながらアメリカやヨーロッパ(EU)で一般的に行われている治療の一部しか保険でカバーできないのが現状です。
そこで、ニキビ専門皮膚科・病院を上手に使いましょう。
多くのニキビ専門皮膚科・病院は、自費治療にはなりますが、処方できる薬や治療を豊富にそろえています。
ニキビは症状が重くなればなるほど治療に時間がかかり、また、元の綺麗な肌へ戻すことが難しくなります。
思い切って、早めにニキビ専門皮膚科・病院に相談に行ってみるのもいいかもしれません。
ニキビの治療をで行われている世界標準の治療の一部を解説します。
4-1.皮脂を抑える治療
ニキビは皮脂の分泌量が過剰に増えるとできやすくなります。
皮脂の分泌量はもともと多い方もいますが、女性の場合は、生理前や20代を過ぎたあたりから急に増える方も多いです。そんな方には内服薬で、体の中から皮脂の分泌量をコントロールする
「皮脂の分泌量を減らして一定に保つニキビ治療」が有効です。イソトレチノインはビタミンA誘導体で皮脂を強力に抑えます。
ホルモン療法は男性ホルモン作用を抑えて皮脂の分泌を減らします。
どちらの治療にも副作用があるので、治療時にはニキビ専門皮膚科・病院でしっかり相談しましょう。
ホルモン治療を皮膚科医がわかりやすく解説
【ニキビの薬】アキュテイン(成分名:イソトレチノイン
4-2.最新機器を使った治療
ニキビ専門皮膚科では、専用機器を使用するニキビ治療も行っています。
効果のある治療に
〇PDT(光線力学療法)
〇IPL(光治療)
などの光を使った治療があります。⇒PDT(光線力学療法)とは
活性酸素の力でアクネ菌を殺菌し、効率よく皮脂抑制・ニキビ殺菌をする治療です。
アミノレブリン酸という成分(光感受性物質)を体内に取り込むと(内服薬や外用薬があります)体内にポルフィリンという成分が作られます。
このポルフィリンという成分は特殊な光に反応し、活性酸素を発生させます。
発生した活性酸素は、ニキビの原因の1つであるアクネ菌を殺菌する作用が強く、また皮脂の分泌を抑える効果もあるのです。
【ニキビの治療】光線力学療法PDTを皮膚科医がわかりやすく解説
⇒IPL(光治療)とは
さまざまな波長の光の力でアクネ菌の殺菌と皮脂の抑制をする治療です。
PDTほどではありませんが、ポルフィリンが作られ、アクネ菌の殺菌と皮脂が抑制されます。
またIPLは熱が加わるため、それによってもアクネ菌殺菌作用と皮脂分泌抑制作用があります。
【ニキビの治療】IPL(光治療)を皮膚科医がわかりやすく解説
4-3.炎症を抑える治療
ニキビは炎症が起きると非常に治りにくい状態となります。
とくに「紫ニキビ」では、炎症がまた新たな炎症を引き起こす悪循環に陥っています。
そのため早急にその炎症を鎮める必要があるのです。ニキビ専門皮膚科・病院には早急に炎症を鎮める成分:ステロイドを注射で注入する治療があります。
この治療は、重症の赤ニキビや紫ニキビを改善する効果があります。
紫ニキビは炎症が強すぎて外用薬や内服薬でも、ニキビの病巣の中心になかなか到達できません。
ステロイドをニキビがある場所に直接注射することによって重症赤ニキビや紫ニキビの炎症を抑えます。よく効くステロイド注射ですが、なぜ重症赤ニキビや紫ニキビ以外はつかわれないのでしょうか?
実は、ステロイドは「皮膚や脂肪が薄くなり、注射・塗布した部分が凹んでしまう」というリスクがあります。
ステロイドの一種、トリアムシノロン(ケナコルト)という注射を、皮膚や脂肪組織に打つと皮膚萎縮(ひふいしゅく⇒皮膚が薄くなること)や、脂肪萎縮により、皮膚が凹むことがあります。
盛り上がっている紫ニキビにはある意味、調度良いのですが、平らなニキビに打つと皮膚が凹む(皮膚陥凹)ことがあります。
なので、濃度適切に調整し、注意深く注射する必要があります。
5.まとめ
軽度の赤ニキビがちょこっとできた段階で、スキンケアを見直し始めましょう。
それでもニキビが増え、顔の半分に赤ニキビが6個以上できてしまったら、皮膚科やニキビ専門皮膚科・クリニックに行きましょう。
6.レベル2・中等症赤ニキビをもっと知りたい方へ
レベル2・中等症の赤ニキビの正式名称=中等症尋常性痤瘡:半顔で6-20個の炎症性皮疹
ニキビ=尋常性痤瘡、赤ニキビ=紅色丘疹=赤色丘疹、黄色ニキビ=膿疱、炎症性皮疹=赤ニキビ+黄色ニキビという単語がこれから何回か出てきます。
日本皮膚科学会尋常性痤瘡ガイドラインでは、中等症尋常性痤瘡は半顔で6-20個の炎症性皮疹=赤ニキビ+黄色ニキビがある状態のことを指しています。
ちなみに海外のガイドラインでは、さまざまな基準があり、統一的な見解は得られていません。
薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。