【ニキビの薬】デュアックを皮膚科医がわかりやすく解説
2017-11-05更新
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Index
1.デュアック配合ゲルとは?
デュアック配合ゲルは、1999年にメキシコで承認されて以来、世界80カ国で使われいる世界的なニキビ治療薬です。(2014年8月時点、厳密には日本のものと濃度が異なります)
「過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)3%」と「クリンダマイシン(ダラシンTゲル)1%」という2つの成分が含まれいます。
過酸化ベンゾイルはベピオゲルという名前で販売されています。
クリンダマイシンはダラシンTゲルという名前で販売されています。
ダラシンTゲルはニキビによく使われる抗菌薬(抗生物質)として有名です。
2.デュアックは赤ニキビに使う!
デュアックは赤ニキビによく効きます。
赤ニキビの数をすぐに減らせる
臨床試験では、2週間の使用で赤ニキビの数が半分以上(56.3%)減りました。12週間使うと約8割(81.0%)減少しました。
デュアックに白ニキビはNG
デュアックは白ニキビに対して効果があります。
しかし、白ニキビにデュアックを使うのはやめましょう。
正確に言うと赤ニキビがない状態では使わないようにしましょう。
デュアックを続けて使い続けると、デュアックの成分である、クリンダマイシンが効きづらくなってしまいます。
そのため、デュアックは出来る限り短い期間で使うをおしまいにしたいお薬です。
クリンダマイシン(ダラシンTゲル)の効果
クリンダマイシンはニキビの原因菌であるアクネ菌が増えるのを抑える作用があります。加えて、炎症も抑える作用があります。
抗菌作用と抗炎症作用から、ニキビ治療によく使われています。
過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)の効果
アクネ菌の細胞膜を壊して、アクネ菌を殺菌します。
耐性菌のできない抗菌薬として重宝されています。
またピーリング作用があり、古い角質が除去されます。
ニキビが発生してる毛穴の中まで、薬剤が浸透し、アクネ菌を殺菌してくれます。
また美白作用もあります。
3.デュアックのおすすめポイント!~耐性菌が生じにくい
過酸化ベンゾイルは通常の抗菌薬と異なり、耐性菌が生じにくいの特徴です。
過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンを配合することにより、クリンダマイシン単独のときよりも、耐性菌ができにくなっています。
とはいえ、クリンダマイシンが効きづらくなってしまう可能性があるので、できるだけ短い期間で使うのをおしまいにしましょう。
デュアック配合ゲル以外の抗生物質の解説ページ
【ニキビに抗生物質はあり?なし?】皮膚科医がわかりやすく解説
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4.デュアック配合ゲルの使い方
デュアック配合ゲルを赤ニキビ出来やすい範囲に塗るようにしましょう。
4-1.使用上の注意
デュアック配合ゲルは冷蔵庫で保存しましょう!
2-8℃では3年以上持ちますが、30℃では2ヶ月待たずにクリンダマイシンが変化してしまいます。
使用期間
赤ニキビがなくなったら使用を終了します。
3ヶ月使って効果が見られなければ使用を中止しましょう。
5.デュアック配合ゲルの副作用
副作用で最も多いのは、乾燥、赤み、皮むけです。
ある臨床試験では、乾燥 (9.8%)、接触皮膚炎(6.8%)、紅斑 (5.8%)、皮膚剥脱(5.8%)、瘙痒症(5.2%)という結果でした。
5-1.重大な副作用
実は、デュアックが使いにくいと感じている皮膚科の医師を一定数存在します。
理由は過酸化ベンゾイルに対してアレルギーがある人が一定の割合でいるためです。
接触性皮膚炎というこの場合、顔全体が赤く腫れたり、目の周囲が腫れる、といった症状が出る可能性があります。
使用を中止し、すぐに医師に相談しましょう。
5-2.妊婦さんへの使用
妊婦さんへの影響がわかっていないので、おすすめしていません。
5-3.アトピー体質の方への使用
アトピー体質の方への使用はケースバイケースです。
アトピーの方は皮膚のバリア機能が落ちているため、薬剤が皮膚のおくまで瞬く間に浸透してしまいます。
アレルギーが起きると、アトピーがない方に比べて、非常に強い症状が出てしまいます。
そのためアトピー体質の方へのデュアックの使用はあまり推奨していません。
しかし、他の治療への反応が悪い場合などは、デュアックを使うことがあります。
6.美容皮膚科医西川が実際にデュアックを使ってみた!
西川が赤ニキビにデュアック配合ゲルを実際に使ってみました。
3日間小さな赤ニキビ1個に、夜1回塗りました。
結果は見事に赤ニキビがなくなりました!
2パターン試しています。
実際の使用方法① 赤ニキビの場所だけに使用
赤ニキビにデュアック配合ゲルを分厚く塗りました。(正しくは薄く塗ります。厚く塗っても薄く塗っても効果はあまりかわりませんので)
最初はデュアック配合ゲルは白状態ですが、5分経つと透明になりました。
その時に塗った場所を触ると、ポロポロむけました。
やっぱり、厚く塗っても意味がなさそうですね。
ひりひり感はあるもののニキビの部分だけなので、問題ないレベルでした。
実際の使用方法② 赤ニキビが出来やすい場所に広く使用
赤ニキビと赤ニキビが出来やすい場所にデュアック配合ゲルを薄く塗りました。
10分位するとひりひり感が強くなり、その時点で洗い流しました。
3度チャレンジしましたが、いづれもひりひり感が強く、使い続けるのは難しかったです。
使い方の注意点
赤ニキビなっているところに薄く塗りましょう。
ついつい厚塗りになってしまうことがあります。(西川もやってしまいました。。。)
そうするとポロポロむけるだけで、浸透しないので、お薬がもったいないですね。
ひりひり感が強い方は、無理せず範囲を絞りましょう。
赤ニキビに絞って使っても効果は出ます。
7.西川的ベストな使用方法
ニキビの重症度に応じて治療内容が異なるので、今回は中等症の赤ニキビの治療を想定したベスト治療方法をご紹介します
- 導入治療
レチノイド(アクネオやディフェリンなど)+ケミカルピーリング+光治療+抗菌薬(デュアック配合ゲル、ドキシサイクリン内服)など
でアクティブなニキビを一気に押さえ込みます。(抗菌薬は2週間程度、それ以外は3-6ヶ月程度です) - 維持療法
レチノイド(アクネオやディフェリンなど)
期間は3-6ヶ月程度です。 - テーパーリング&治療終了
レチノイドを徐々に減らしていき、最終的にはスキンケアだけニキビをできない状態まで到達します。
ニキビ治療はさまざまな薬と施術を組み合わせて、短期間でアクティブなニキビを減らし、維持療法でニキビのできにくい肌環境を整え、ニキビ治療を終了します。
デュアック配合ゲルは、初期治療で重要な役割を果たしてくれています。
8.まとめ
デュアック配合ゲルは、今でのニキビの抗菌外用薬を進化させたものです。
効果も高いのでぜひ使ってみてください。
副作用は結構な割合ででますので、その場合は担当の医師とご相談ください。
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9.デュアック配合ゲルをもっと知りたい方へ
9.1.デュアック配合ゲル塗ったら関係ないところまで真っ赤になった!
9.2.デュアック配合ゲルはニキビが出来やすいところ全体がいいのか?アクティブなニキビのあるところだけがいいのか?
9-1.デュアック配合ゲル塗ったら関係ないところまで真っ赤になった!
デュアック配合ゲルの副作用に接触性皮膚炎があります。
漆のかぶれや、金属アレルギーなども接触性皮膚炎です。
接触性皮膚炎では触れている部分が赤くなるだけでなく、少し離れた場所まで赤くなることがあります。
デュアック配合ゲルで接触性皮膚炎が直ちに使用を中止しましょう。
接触性皮膚炎は下の写真のうような赤みです。(下の写真の接触性皮膚炎はデュアック配合ゲルによるものではありません。)
9-2.デュアック配合ゲルはニキビが出来やすいところ全体がいいのか?アクティブなニキビのあるところだけがいいのか?
答えはどちらでもいいです。
どちらがいいか結論がでていないのです。
デュアック配合ゲルはニキビが出来やすい場所全体に塗った方が、効果が高いです。
デュアック配合ゲルにニキビを予防する効果があるからです。
製薬会社もニキビが出来やすい場所全体を推奨しています。
しかし、デュアック配合ゲルの副作用である乾燥や接触性皮膚炎のリスクを下げるために、ニキビのあるところだけの方がいい場合も多いです。
効果をとるか安全をとるか、どちらが正しいか決着のついていない問題です。
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この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。