【ニキビの薬】抗生物質を皮膚科医がわかりやすく解説
2017-11-07更新
この記事の監修医師 アクネスタジオ 院長 西川嘉一 |
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Index
1.抗生物質とは
赤ニキビの原因のアクネ菌を倒すために使います。
飲み薬(内服薬)と塗り薬(外用薬)に分かれていますので、それぞれのお薬を見てみましょう。
2.ニキビに効く飲む抗生物質=内服抗菌薬はどれ?
2-1.ビブラマイシン(成分名ドキシサイクリン)
【ニキビの薬】ビブラマイシン(成分名ドキシサイクリン)を皮膚科医がわかりやすく解説 |
美容皮膚科医西川が最も処方する内服抗菌薬。
美容皮膚科医西川がよく処方する理由は2つ。
- 抗菌作用に加えて抗炎症作用があること
- 副作用が少ないこと
2-2.ミノマイシン(成分名ミノサイクリン)
【ニキビの薬】ミノマイシン・ミノサイクリンを皮膚科医がわかりやすく解説 |
ビブラマイシンと同じグループのテトラサイクリン系に属しています。
効果はビブラマイシンと同等ですが、副作用のめまいが多く発生するため、運転などの制限がかかります。
そのため、美容皮膚科医西川はミノマイシンよりもビブラマイシンを選びます。
2-3.ファロム(成分名ファロペネムナトリウム)
【ニキビの薬】ファロム・ファロペネムを皮膚科医がわかりやすく解説 |
ビブラマイシンやテトラサイクリンとは異なるグループの抗生物質です。
現状、耐性菌の発生率が低いです。
美容皮膚科医西川はビブラマイシンが効かないとき(耐性菌など)や使えないとき(アレルギーなど)に使います。
2-4.ルリッド(成分名ロキシスロマイシン)
【ニキビの薬】ルリッドを皮膚科医がわかりやすく解説 |
ニキビに対して皮膚科で出されることがあります。
抗菌作用がありニキビに効果があります。
美容皮膚科医西川はビブラマイシンやファロムを使うので、ルリッドはあまり使用していません。
3.ニキビに効く塗る抗生物質=外用抗菌薬はどれ?
3-1.デュアック配合ゲル(成分名過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン)
【ニキビの薬】デュアックを皮膚科医がわかりやすく解説 |
過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)とクリンダマイシン(ダラシン)との合剤です。
もちろんダラシンTゲル単独より効果があります。
3-2.ダラシンTゲル(成分名クリンダマイシン)
【ニキビの薬】ダラシンTゲルを皮膚科医がわかりやすく解説(成分名:クリンダマイシンゲル) |
クリンダマイシンという成分の抗菌外用薬です。
3-3.アクアチムクリーム(成分名ナジフロキサシン)
【ニキビの薬】アクアチムクリームを皮膚科医がわかりやすく解説 |
4.抗生物質が効かないニキビがある
赤ニキビには効く
赤ニキビはアクネ菌が増殖し、炎症を起こしている状態です。
抗生物質は、アクネ菌を抑える作用があるので、赤ニキビに非常に有効です。
白ニキビには効かない
白ニキビは毛穴に皮脂が溜まっている状態ですが、アクネ菌は増殖していません。
なので、抗生物質を使用しても改善しません。
5.抗生物質で早くニキビを治す!
抗生物質はアクネ菌を倒してくれるので、抗生物質を使うとニキビが早く治ります。
それにより、ニキビ跡ができてしまうのを抑えられます。
ちなみに凸凹のニキビ跡はできてしまうと生涯残ってしまいます。
そのため、凸凹のニキビ跡ができないようにするのが、ニキビ治療でもっとも重要なことです。
6.抗生物質だけではニキビは治らない?
長期間使用に向かない
善玉菌(常在菌)も殺菌してしまうので、肌の調子が悪くなることがあります。
耐性菌ができてしまうため、長期間使うことができません。
ニキビが良くなっているのにダラダラと使い続けると、耐性菌という抗生物質が効かない菌が生まれてきます。
そのため、抗生物質は長期間使用しないようしましょう。
どれくらいで耐性菌ができるの?
耐性菌が発生する期間は実は人それぞれです。
薬を塗る前から持っている人もいれば、薬の塗って1年しても耐性菌があまりいないという方もいます。
耐性菌発生までの期間に確実な指標がないため、抗生物質の使用はできるだけ短い期間にとどめるということが大切です。
抗生物質だけではニキビ肌は治らない
ニキビの原因は、
- お肌のバリア機能が低下していること
- 皮脂が多いこと
- 角質が硬いこと
です。この状態だと、すぐにアクネ菌が増殖していしまいます。
つまり、上の3つの状態が解消されないかぎり、ニキビが何度も繰り返されます。
抗生物質はお肌の状態を改善する作用まではないので、ニキビ肌を改善するまでの効果はありません。
7.ニキビ肌を良くするのに必要なことは?
ニキビ肌の改善に必要なこと(抗生物質以外のケアが必要)
- お肌のバリア機能を回復する
- 皮脂を抑える
- 角質をやわらくする
ニキビが酷い時にしなくてはいけないこと
- アクネ菌の繁殖を抑えること(抗生物質の役割)
- 炎症を抑えること
以上のように、ニキビ治療で抗生物質が果たす役割は意外に大きくありません。
8.美容皮膚科医西川は抗生物質をそれほど多くは使いません
先ほどの述べたようにニキビ治療では抗生物質よりも、他の治療のほうが大きな役割を果たしています。
ニキビ治療の基本の併用療法
- お肌のバリア機能を回復するスキンケア
- 皮脂を抑えるレチノイド(アクネオ、ディフェリンゲルなど)
- 角質を柔らかくするケミカルピーリング、レチノイド(アクネオ、ディフェリンゲル)
上記の3つが基本的なニキビ肌の改善に必要なことです。
重症度に応じて、必要であれば抗生物質を追加します。
そのため、美容皮膚科医西川は抗生物質をそれほど多くは使いません。
重症度に応じて使い分けています。
9.まとめ
赤ニキビには抗生物質は有効です。
しかし、ニキビ肌を改善するにはお肌のバリア機能を回復することと、皮脂を抑えることのほうが大切です。
ずっと抗生物質に頼るのは、耐性菌ができてしまう原因になるので避けましょう。
最低限の抗生物質の使用で、ニキビがよくなるよう、担当の医師と相談しながら治療をすすめてください。
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この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。