【紫ニキビ(嚢腫・結節型)の原因&治し方】皮膚科医がわかりやすく解説
2016-10-28更新
赤ニキビは数によって、重症度が決まっていましたが、紫ニキビは数に関係なく重症度がとても高いです!
それは、紫ニキビが治りにくく、ニキビ跡になりやすいからです。
1つでも紫ニキビがあったら、すぐにニキビ専門皮膚科で治療を始めましょう。
この記事の監修医師 アクネスタジオ 院長 西川嘉一 |
薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
Index
1.紫ニキビと赤ニキビの違いってなに?
紫ニキビは赤ニキビが悪化したものです。
ではどんな状態になってしまったら「紫ニキビ」なのでしょうか?
〇赤ニキビとは
〇紫ニキビとは
色や状態に違いがあるので、自分のニキビがどちらであるのかチェックしてみましょう。
※紫ニキビの詳しい説明はコチラをご覧ください。
2.<ニキビ専門皮膚科での治療>&<正しいスキンケア>がカギ
赤ニキビは、数に応じて
〇まずはスキンケアを試してみる。
↓
〇皮膚科とスキンケアの両方
↓
〇ニキビ専門皮膚科とスキンケア
というように分かれていました。
しかし紫ニキビは基本的に、重症の赤ニキビと同じ、1つでもあるならば「ニキビ専門皮膚科とスキンケア」がおすすめです。
なぜすぐにニキビ専門皮膚科に行かなくては行けないのか?
なぜ紫ニキビになってしまったら、スグにニキビ専門皮膚科に行かなくてはならないのでしょうか?
それは
〇早く専門医に診察してもらってニキビなのか他の病気かを知ったほうが良い為
〇早く治療を始めたほうが、キレイに治る可能性が明らかに高い為
です。
具体的には、このような内容があげられます。
①単純なニキビではなくて他の病気のこともある(SAPHO症候群など)
※SAPHO症候群とは・・・
原因不明の骨・関節症状と皮膚症状を呈する症候群である。「SAPHO」は滑膜炎(synovitis)、痤瘡(acne)、膿疱症(pustulosis)、骨化症(hyperostosis)、骨炎(osteitis)の頭文字をとったもの
ウィキペディア引用
症状で、治療法が変わりますので、早い段階で専門医に診断をしてもらい、正しい治療を受けることが必要です。
②ニキビ跡になってしまうことが多い&ニキビ跡になると治療が難しい
ニキビ跡の治療に関して、多く方が誤解されていらっしゃる事実があります。
ニキビ跡(クレーター)ができても、治療すれば元の状態に戻る、と思っていませんか?
実はニキビ跡(クレーター)の治療とは、クレーターがなかったときに肌に戻すものではありません。
・・・そう、ニキビ跡(クレーター)できてしまうと、ニキビがなかった時の美しい肌状態には戻せないのです。
クレーター治療でできることは・・・
「なるべくニキビ跡(クレーター)を目立たないようにすること」
「クレーターの凹凸を出来る限り減らすこと」
です。
例えば、もともとの肌の状態が100点だったとしましょう。
ニキビができた後、クレーターができてしまい50点になってしまったら・・・。
ニキビ跡(クレーター)の治療をして場合、期待できる治療効果は50点を70~80点くらいに上げる程度となるのです。
50点が70点~80点になることは、効果もありますし、喜ばしいことです。
しかし「元のつるりとした肌に戻す」といったイメージ、つまり100点を狙うことは残念ながら限りなく不可能に近いのです。
ニキビの症状が中等症状以上のニキビはニキビ跡(クレーター)になる可能性が高いです。
なので、中等症以上のニキビは即、ニキビ専門皮膚科で治療をすることをおすすめします。
実はニキビ専門皮膚科でないとできない治療が多数存在する。
世界では標準的に行われている治療法や処方されている治療薬なのに、日本の保険診療では認められていないケースが数多く存在しています。
保険の皮膚科の治療法や治療薬で治る人ももちろんいます。
しかし、それだけでは残念ながら治らない人も多くいます。
早く治る確率を挙げるには、世界標準治療を行っているニキビ専門皮膚科でしっかりと治療したほうがよいでしょう。
ニキビ専門皮膚科でできる治療
ニキビ専門皮膚科では、このような治療を行っています。
〇イソトレチノイン処方
〇ホルモン療法
〇PDT(光線力学療法)
〇IPL(光治療)
など、様々な治療の選択肢があります。
治療の方針・目的としては、
〇皮脂の分泌を抑える
〇アクネ菌を殺菌する
〇炎症を抑える
などです。
では、ニキビ専門皮膚科で行われている世界標準の治療の一部を解説します。
3.<ニキビ専門皮膚科での治療>
3-1.皮脂を抑える治療
ニキビは皮脂の分泌量が過剰に多いとできやすくなります。
イソトレチノインやホルモン療法で皮脂を抑えることができます。
イソトレチノインはビタミンA誘導体で皮脂を強力に抑えます。
ホルモン療法は男性ホルモン作用を抑えて皮脂の分泌を減らします。
また、一般皮膚科でも使える、ディフェリンゲルやベピオゲルも有力治療薬です。
どちらの治療にも副作用があるので、治療時には皮膚科でしっかり相談しましょう。
【ピルでニキビを治そう】ホルモン治療を皮膚科医がわかりやすく解説 |
【ニキビの薬】アキュテインを皮膚科医がわかりやすく解説(成分名:イソトレチノイン、別名:ロアキュテイン・ロアキュタン) |
3-2.最新機器を使った治療
PDT(光線力学療法)、IPL(光治療)
ともに光を使った治療です。
PDT(光線力学療法)は「光感受性物質」というものを利用し、ポルフィリンを作ることでアクネ菌を殺菌し、皮脂の分泌を抑えます。
IPL(光治療)はさまざまな波長の光を利用し、PDTほどではありませんが、ポルフィリンが作られ、アクネ菌の殺菌と皮脂が抑制されます。またIPLでは熱が加わるため、それによってもアクネ菌殺菌作用と皮脂分泌抑制作用があります。
3-3.炎症を抑える治療
要するに炎症が紫ニキビの悪循環を作っているのです。
その為、炎症を一刻も早く抑えることが必要ですね。
その手段に1つに、注射によって炎症を抑えることで紫ニキビを改善する治療もあります。
紫ニキビは炎症が強すぎて外用薬や内服薬でも、ニキビの病巣の中心になかなか到達できません。
ステロイドという炎症を抑える薬剤をニキビがある場所に直接注射することによって紫ニキビの炎症を抑えます。
ステロイド注射はよく効くのに、なんで紫ニキビ以外には使われないの?
ステロイドの注射はニキビの炎症を早く抑えるという良い作用もある反面、皮膚に悪い作用もあります。
それは「皮膚や脂肪が薄くなり、注射した部分が凹んでしまうことがある」という点です。
ステロイドの一種、トリアムシノロン(ケナコルト)という注射を皮膚や脂肪組織に打つと皮膚萎縮や脂肪萎縮を引き起こし、凹むことがあります。
盛り上がっている紫ニキビにはある意味、調度良いのですが、平らなニキビに打つと皮膚が凹む(皮膚陥凹)ことがあります。
なので、濃度適切に調整し、注意深く注射する必要があります。
ステロイド注射は、経験と治療に対する深い知識がある医師が行う必要がある治療です。
ニキビ専門皮膚科の医師の説明よくを聞いて、治療をスタートしてください。
4.紫ニキビにはスキンケアと生活・食事も大切
ニキビ専門皮膚科・病院でどんなにいい治療をうけても、日々のケアができていないと、なかなかニキビはよくなりません。
皮膚科で出された薬をしっかりと使い、そして適切なスキンケアをすることが大切です。
このスキンケア法も参考にしてみてください。
クレンジング
クレンジングでは、ミルククレンジングがまたはジェルクレンジングでしっかりと時間をかけて、メイクを落としましょう。
肌への負担を少なくするクレンジング剤はミルクまたはジェルです。
また、クレンジング剤は肌においてから1分は待って、メイクや皮脂となじんでからメイクを落としましょう。
そうすることで、肌の負担を少なくできるのとともに、毛穴の皮脂も溶けだして、ニキビにも効果があります。クレンジングを詳しく知りたい方は、【ニキビ肌クレンジング】ミルク・オイル・ジェルをランク付けと裏ワザをあわせてお読みください。
洗顔
1日2回朝・夜の泡洗顔がおすすめです。
洗いすぎは肌への負担になりますが、洗わなすぎでは角質・皮脂が溜まってしまいます。
洗顔のお肌への負担を極力少なくする、泡洗顔がもっともおすすめです。洗顔を詳しく知りたい方は、洗顔方法を皮膚科医がわかりやすく解説をあわせてお読みください。
化粧水
化粧水は洗顔後必ず使いましょう。
ニキビを抑えてくれる成分が入っていることと、刺激が強い成分が入っていないことが大切です。化粧水について詳しく知りたい方は、化粧水の選び方とケア方法をあわせてお読みください。
保湿
洗顔後、化粧水だけでもある程度の保湿はできますが、それだけでは不十分です。
ニキビのできている肌はバリア機能が低下しているため、保湿でバリア機能を補ってあげましょう。
おすすめの保湿剤はミネラルオイルやヘパリン類似物質です。保湿について詳しく知りたい方は、ニキビ肌に保湿をあわせてお読みください。
メイク
ニキビの人もメイクをしても大丈夫です。
「ニキビの人は出来る限りすっぴんでいてください」と、言われていた時代もありましたが、適切なメイクであれば、ニキビにあまり影響を与えないことがわかってきました。
ただ、リキッドファンデーションのような毛穴につまりやすいコスメは使わないようにしてくださいね。
メイクについて詳しく知りたい方は、ファンデーション、コンシーラーなどをあわせてお読みください。
規則正しい睡眠
睡眠不足やストレスがかかると皮脂分泌が増えるのことがありますので、規則正しい睡眠は紫ニキビ改善のサポートになります。
バランスの取れた食事
ニキビに悪い食べ物があります。
スキムミルクやチョコレート、油分の多い食事などは、控えめにしましょう。
もちろん、全部ダメというわけではなく、少し食べるくらいならば、問題ありません。
またビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCなどは皮脂分泌を抑えますので、バランスのよい食事を取るように気をつけましょう。
もちろん食事だけが原因ではありませんので、食事だけ治しても、紫ニキビは良くならないでしょう。
しかし、紫ニキビを良くするサポートにはなります。
5.紫ニキビのでき方と原因
毛穴の中で炎症が起きている状態が赤ニキビです。
その炎症が重症化したものが紫ニキビです。
赤ニキビよりも炎症が毛穴周囲に広がりダメージが大きく残るため、ニキビ事態が治っても、ニキビ跡ができやすいのが特徴です。
紫ニキビは結節型ニキビ、硬結型ニキビ、嚢腫型ニキビなどとも呼ばれます。
また赤ニキビが連続するぐらいたくさんできる集簇性ざ瘡も紫ニキビに含める場合もあります。
どうして紫ニキビになるの?
紫ニキビは赤ニキビが悪化したものです。
赤ニキビにより皮膚が炎症をおこすと、自分の免疫が自分自身の皮膚をも攻撃するようになります。
それによりさらなる炎症が起こり、また免疫が自分自身の皮膚を攻撃するという悪循環に陥ります。
この悪循環の中にいるのが紫ニキビです。
要注意!こんな人は紫ニキビになりやすい。
A.皮脂が多い人
B.赤ニキビになっても治療をしないで放っておく人
皮脂が多い人は、普通の人よりも赤ニキビになりやすいです。
そんな人が、赤ニキビがでもきても、放っておいてしまい、紫ニキビに発展するというパターンが一番多いです。
女性ホルモンバランスの乱れ
多嚢胞性卵巣などの婦人科疾患によりホルモンバランスが乱れ、紫ニキビが発生することがあります。
紫ニキビと生理不順や不正出血が続く場合には、婦人科での治療が必要になる場合があります。
6.紫ニキビの原因への誤解
紫ニキビの本当の原因でないにもかかわらず、原因と勘違いされているものがあります。
6-1.スキンケアを適切に行なっても紫ニキビはできる
スキンケアがちゃんとできていなから、紫ニキビができてしまうと誤解している人もいます。
紫ニキビはちゃんとしたスキンケアをしていてもできてしまいます。
この誤解で心無い言葉をかけれられて、傷ついている人が多いです。
6-2.規則正しい生活をしていても紫ニキビはできる
規則正しい生活をしていても紫ニキビができるときはできます。
スキンケアや生活とは無関係に紫ニキビにはできてしまいますが、
7.本当の紫ニキビ対策
紫ニキビを作らないことが、本当の紫ニキビ対策です。
紫ニキビある人の多くが皮脂分泌過剰です。
皮脂分泌を抑える皮膚科治療をすることが本質的な紫ニキビ対策につながります。
紫ニキビをなくして、ニキビ跡もできないようにすることが、最も大切な治療方針です。
8.まとめ
紫ニキビはそのまま放っておくとニキビ跡なってしまいます。
一刻も早くニキビ専門皮膚科で治療をしましょう。
しかし、紫ニキビを作らないことが一番大切です。
紫ニキビの前段階の赤ニキビケア・白ニキビケアを普段から心がけて、ニキビゼロを目指しましょう。
9.西川先生の紫ニキビ治療は?
今ある紫ニキビをなくす治療と、新しい紫ニキビができなくなる治療の二本立てです。
9-1.今ある紫ニキビをなくす治療
すでにできてしまった紫ニキビはステロイドの局所注射を行います。
ステロイド局所注射で、炎症を抑えて、抗菌薬(抗生物質)が届きやすい環境を作ります。
9-2.新しい紫ニキビをできなくする治療
何種類か方法があります。
◯きれいな肌も同時に目指していく治療
ケミカルピーリング・IPL・高濃度ビタミンC点滴などを併用して、お肌の皮脂の分泌を抑えつつ、潤いを与える治療を行います。
◯女性限定・ホルモン治療
女性のみですが、ピルやスピロノラクトンを使用したホルモン治療です。
ちなみに男性がピルを飲んでもニキビは改善せず、体調が悪化するだけですので、ご注意ください。
◯イソトレチノイン内服
強力に皮脂を抑えます。ただし、副作用も強めです。催奇形性があるお薬なので、取扱に注意が必要です。
◯PDT光線力学療法
強力に皮脂を抑えます。ただし、副作用も強めです。
以上の治療を、それぞれの方の症状とご希望に合わせて、組み合わせたり単独で行ったりします。
薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。