【重症ニキビ・紫ニキビの薬】アキュテインを皮膚科医がわかりやすく解説(成分名:イソトレチノイン、別名:ロアキュテイン・ロアキュタン)
2018-02-23更新
アメリカで重症ニキビ・紫ニキビの治療薬として、もっとも活躍しているがアキュテイン(イソトレチノイン)です。
日本で導入されていないのには訳がありますが、その効果は絶大です!
紛らわしいですが、アキュテイン、ロアキュテイン・ロアキュタン、イソトレチノインは基本的に同じものを指します。
詳しくは、6-2.アキュテイン、ロアキュテイン・ロアキュタン、イソトレチノインの違い
薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
東京でイソトレチノインを処方している皮膚科 |
Index
- 1.アキュテイン(イソトレチノイン)って何?
- 2.日本でアキュテイン(イソトレチノイン)が使われていない!
- 3.美容皮膚科医西川がアキュテイン(イソトレチノイン)を内服してみた!
- 4.アキュテイン(イソトレチノイン)を飲む時の注意点
- 5.まとめ
- 6.アキュテイン(イソトレチノイン)をもっと知りたい方へ
- 6-1.避妊期間は1ヶ月でいいのか?
- 6-2.アキュテイン、ロアキュテイン・ロアキュタン、イソトレチノインの違い
- 6-3.アキュテイン(イソトレチノイン)内服治療の費用・価格
- 6-4.アキュテイン(イソトレチノイン)って、他にどんな治療に使われるの?
- 6-5. アキュテインって同意書は必要ですか?
- 6-6. アキュテイン飲んでいるときは、避妊ってしないといけないんですか?
1.アキュテイン(イソトレチノイン)って何?
商品名はアキュテイン、成分名をイソトレチノインと言います。イソトレチノインはビタミンA誘導体で、皮脂の分泌を強力に抑えることで、重症ニキビ・紫ニキビを改善します。
アメリカのガイドラインでは重症ニキビ・紫ニキビにもっとも効く薬として位置づけられています。
2.日本でアキュテイン(イソトレチノイン)が使われていない!
日本の保険診療ではアキュテイン(イソトレチノイン)が使えません。
なので、アキュテイン(イソトレチノイン)の取り扱いがある数少ない皮膚科でほそぼそと自費診療でイソトレチノイン療法が行われています。
アキュテイン(イソトレチノイン)が日陰に追いやられているのには、理由があります。
催奇形性
アキュテイン(イソトレチノイン)には催奇形性があります。
アキュテイン(イソトレチノイン)を含むビタミンA誘導体を大量に取ると奇形児が生まれるリスクが上がります。
妊婦はアキュテイン(イソトレチノイン)を絶対に飲んではいけません。
アキュテイン(イソトレチノイン)治療を開始するときは、妊娠検査や妊娠していない旨を明らかにする同意書などを皮膚科・病院に提出させられることが多いです。
アキュテイン(イソトレチノイン)内服で自殺が増えるかも?
アキュテイン(イソトレチノイン)の内服で自殺が増えると発表されたことがありました。しかし、その後の調査では、自殺とアキュテイン(イソトレチノイン)のは関連がないとするものもあり、まだ結論に至っていません。
事実として、アキュテイン(イソトレチノイン)内服中の自殺未遂率は高いのですが、アキュテイン(イソトレチノイン)を内服しなくては行けないレベルのニキビがある人の自殺未遂率も高いため、どちらが原因になっているかがはっきりしないということです。
因果関係ははっきりしていませんが、アキュテイン(イソトレチノイン)内服中に心の変調をきたしたら、必ずかかりつけの医師に相談しましょう。
3.美容皮膚科医西川がアキュテイン(イソトレチノイン)を内服してみた!
すごく乾燥しました!
飲み始めてから1週間程度で夜寝ていると口や鼻がカラカラに乾燥するようになりました。冬には向かない治療だと感じました。
気分が変わりました(いい意味で)
飲み始めてから1週間程度で、明らかに睡眠時間が減りました。
もともと一日8-9時間睡眠の寝坊助でしたが、7時間くらいで起きれるようになりました。
加えて、少し元気になったような気がしました。
ニキビは減りました
ニキビは2週間でかなり減りました。同時に、皮膚が乾燥するようになったので、保湿を中心としたスキンケアを併用しました。
2週間でアキュテイン(イソトレチノイン)内服継続を断念
ニキビも睡眠時間が減って、元気が増したのは非常に良かったのですが、口・鼻・目の乾燥が非常に強く、アキュテイン(イソトレチノイン)の内服を継続できなくなりました。
体験のまとめ
ニキビは確実に減りました。
そして、アキュテイン(イソトレチノイン)による気分の変調は西川にはありました。
不思議なのですが、爽快感のある気分になりました。
気分を変える作用があるので、人によっては悪い方へ気分が向きそうで怖いなと感じました。
一律に絶対、安全と言える薬ではありませんが、しっかりとリスクを知った上で、他のニキビ治療が全く効かない人は試す価値のある治療です。
4.アキュテイン(イソトレチノイン)を飲む時の注意点
- 避妊する(内服前1ヶ月~内服後最低1ヶ月)
- 2回以上妊娠検査をして、妊娠していないことを確認する
- 授乳しない(内服中~内服後1ヶ月)
- テトラサイクリン系の内服薬(ミノマイシンなど)を使用しない
- 献血しない(内服中~内服後1ヶ月)
- 定期的に血液検査をする
- 日焼けしない
- レーザー治療をしない(内服中~内服後半年)
- 夜盲症になることがあるので、夜の運転は気をつける。
- うつ症状が悪化することがある
よくある副作用(海外報告)
・血中の中性脂肪が上昇する(25%)
・結膜炎(4%)、眼瞼炎(1%)、霰粒腫(1%)、麦粒腫(1%)
低用量イソトレチノインでは、これよりも副作用の頻度が低いです(西川の感覚値ですが)
4-1. 絶対に避けるべき薬やサプリメント
【アミノレブリン酸(内服)】
アミノレブリン酸とアキュテインともに光感受性が高まってしまいます。
【ビタミンA(内服)】
アキュテインはビタミンA誘導体なので、ビタミンAと併用するとビタミンA誘導体の副作用が強くなることがあります。
【テトラサイクリン系(内服)】
テトラサイクリン系抗菌薬を併用すると、頭蓋内圧が上がることがあります。頭蓋内圧が上がるとヒドい頭痛がし、治療が必要となります。
日本ではアキュテイン(イソトレチノイン)が一般的でないため、アキュテイン(イソトレチノイン)を処方しているクリニック以外はこのルールを知らないことがありますので、内服中はくれぐれもご注意ください。
5.まとめ
アキュテイン(イソトレチノイン)は他の治療が効かない時だけにしましょう!
アキュテイン(イソトレチノイン)では強く乾燥を誘発するので、治療中は美肌から遠のいてしまいます。
他のニキビ治療だけで、ニキビ肌から美肌に変わることができる人が多いです。
なので美容皮膚科医の視点からはアキュテイン(イソトレチノイン)はおすすめ度合いは低いです。
ただし、他のニキビ治療が全然効かない場合は、アキュテイン(イソトレチノイン)内服は非常に有効です。
アキュテイン(イソトレチノイン)内服はリスクがある治療なので、リスクを十分知った上で、治療を受けるようにしましょう。
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アキュテイン(イソトレチノイン)以外のニキビ治療
保険診療
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6.アキュテイン(イソトレチノイン)をもっと知りたい方へ
6-1.避妊期間は1ヶ月でいいのか?
避妊期間はアメリカでは1ヶ月に設定されていることが多いです。
理由は、体内でイソトレチノイン(未変化体)の濃度が半分になるまでの時間が約20時間だからです。
おおまかな計算だと、10日も経つと1000分の1以下、30日では10億分の1以下となります。
実際の体はもっと複雑ですし、毎日飲んでやめてからどれくらいのペースで減少するかは上の計算どおりにはいきませんが、1ヶ月で胎児に影響を与えないレベルまで低下します。
イソトレチノインの代謝には個人差があるので、3ヶ月は避妊したほうがよいと考えている医師もいます。
日本では、念のため半年に設定してる皮膚科・病院が多いです。
6-2.アキュテイン、ロアキュテイン・ロアキュタン、イソトレチノインの違い
アキュテインAccutane、ロアキュテイン・ロアキュタンRoaccutaneはエフ・ホフマン・ラ・ロシュF. Hoffmann-La Rocheというスイスの製薬会社から出ているイソトレチノインisotretinoinが成分の薬です。(ロアキュタン、ロアキュテインはアルファベットを日本語読みしたときの違いで、どちらも間違いではないです)
つまり、アキュテイン、ロアキュテイン・ロアキュタン、イソトレチノインは基本的に同じものを指します。
アキュテインはアメリカでのブランドネームで、ロアキュテインはアメリカ以外(ヨーロッパなど)でのブランドネームです。
またアキュテインの後発品(ジェネリック)もでており、その場合は成分名でイソトレチノインと呼ばれたり、ジェネリックのブランドネームでよばれることがあります。
アキュテイン | ロアキュテイン | イソトレチノイン |
アメリカでの先発品 | アメリカ以外での先発品 | 先発品も後発品も指します |
他の後発品一覧
・Absorica
・Amnesteem
・Claravis
・Myorisan
・Zenatane
・Clarus
・Epuris
6-3.アキュテイン(イソトレチノイン)内服治療の費用・価格
アキュテイン(イソトレチノイン)内服治療の費用は薬代+診察料+血液検査代で、1ヶ月に15,000~60,000円程度の費用がかかります。
自費診療のため、皮膚科・病院よって費用にばらつきがあります。
細かい価格は各皮膚科にお問い合わせください。
6-4.アキュテイン(イソトレチノイン)って、他にどんな治療に使われるの?
海外では、皮膚T細胞性リンパ腫や皮膚の扁平上皮癌、神経芽細胞腫などに使用されることがあります。ただし、第一選択薬ではありません。
6-5. アキュテインって同意書は必要ですか?
私(西川)が院長をつとめるアクネスタジオでは、必ず同意書を書いていただいています。以下のような項目があります。
◯テトラサイクリン系の抗菌薬との併用ができません、ミノマイシンなどの抗菌薬はお控えください。
◯治療中は、皮膚や粘膜部分の乾燥をまねくことがあります。
◯唇の乾燥やドライアイなどが発生することがあります。
◯皮膚のかゆみ、赤みの発生することがあります。
◯紫外線感受性が上がることがあります。
◯一過性にニキビが悪化する好転反応が発生することがあります。
◯治療中はビタミンA含有のサプリメントの摂取は控えてください
◯イソトレチノインには催奇形性があり、妊娠中に服用すると奇形児が生まれるリスクが高くなります。女性は、治療前1ヶ月間、治療後3ヶ月間は必ず避妊してください。2種類以上の避妊を併用してください。(例:ピル+コンドーム、子宮内避妊具+コンドームなど)授乳中なども服用できません。男性も治療中と治療後3ヶ月間は避妊をお願いいたします。
◯治療中は血液検査が必要です。
などなどです。
6-6. アキュテイン飲んでいるときは、避妊ってしないといけないんですか?
私(西川)が院長をつとめるアクネスタジオでは、必ず、避妊していただいています。
アクネスタジオでは、アキュテインの本場?アメリカと同様に、女性に関しては、2種類以上の避妊を併用していただいています。
例:ピル+コンドーム、子宮内避妊具+コンドームなど
ピル単独やコンドーム単独では一定確率で妊娠するという統計がでています。(ピルをちゃんと飲めていなかったり、コンドームが適切に使用されていなかったりしているのも一因ですが。)
女性に2種類以上の避妊を推奨していないクリニックもありますが、安全性を考えると2種類上の避妊を強く推奨します。
この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。