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十味敗毒湯 ニキビ 漢方

【ニキビの漢方薬】十味敗毒湯を皮膚科医がわかりやすく解説

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2017-11-05更新

【美容皮膚科医監修】

ニキビといえば「青春のシンボル」と呼ばれることが多いですが、大人になってから悩まされる大人ニキビは原因も多種多様です。一度できるとなかなか改善されないことが多いです。

 

皮膚科で処方される薬はたいてい普通のお薬(西洋薬)が多いですね。そんな中、最近では漢方薬の存在が見直されています。今回は、その一つ「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」についてまとめました。

 

 

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1.十味敗毒湯とは?

 

「十味敗毒湯」の名前は、江戸時代にこの漢方薬が10種類の生薬で毒をなくすことができると考えられたことからつけられました。その由来通り、10種類の生薬が配合された漢方薬です。

通常、ニキビで皮膚科にかかると処方される抗生物質は、ニキビの原因アクネ菌を抑えるための薬です。

これに対し漢方薬は、毒素を体外に排出し症状を軽減し炎症を抑えるだけではなく、ニキビができにくい体質へと改善してくれます。

 

1-1.十味敗毒湯のニキビへの効果

実は、ニキビへの効果は低い!

十味敗毒湯のニキビに対する効果は、実は、他の治療と比べて効果が高くありません。
なので、十味敗毒湯単独でニキビ治療が行われることはありません。
では、なぜ十味敗毒湯がニキビ治療に使われているのでしょうか?

 

じっくりとニキビ体質を改善する!

即効性のあるニキビ治療薬ディフェリンゲルベピオゲルゼビアックスローションミノマイシンなど)を用いて、できてしまったニキビを治します。
そこに十味敗毒湯を併用することで、新しいニキビができにくい体質へと変えていきます。
十味敗毒湯の体質改善は、他のニキビ治療薬では真似できない特徴になっています。

 

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1-2.十味敗毒湯の10種類の生薬

 

10種類の生薬は、それぞれに異なる効果があり、それらの効果が調和することによって、相乗効果が生まれます。

 

血管拡張作用:血管を広げる作用は、皮膚の血行を良くして皮膚をキレイにしてくれます

  • 「荊芥(ケイガイ)」・・解熱作用やかゆみを鎮める作用、抗菌作用があります。
  • 「防風(ボウフウ)」・・解熱作用があります。
  • 「川芎(センキュウ)」・・「血」と「気」の巡りをよくし体のバランスを整えます。
  • 「独活(ドッカツ)」・・発汗作用、解毒作用、血管収縮作用があります。

 

消炎・解毒作用:皮膚の炎症や毒素を取り除き、化膿を抑制し改善してくれます。

  • 「柴胡(サイコ)」・・「熱」をさまし「気」の滞りをとり除く作用があります。
  • 「桔梗(キキョウ)」・・膿などをとり除く作用があります。
  • 「甘草(カンゾウ)」・・痛みを緩和し、緊張をゆるめる作用があります。
  • 「樸樕(ボウソク)」・・解毒作用があり、皮膚の化膿性疾患に効果があります。

 

利水効果:皮膚の炎症による分泌物を取り除き、腫れを軽くしてくれます。

  • 「茯苓(ブクリョウ)」・・利尿作用や健胃作用があります。
  • 「生姜(ショウキョウ)」・・体を温め、消化機能を整える働きがあります。

 

2.十味敗毒湯が買える場所は?

 

漢方薬として皮膚科で処方してもらえますが、皮膚科に行かなくても、薬局やドラックストアでも購入できます。ドラックストアで購入すると、皮膚科で保険で処方されるより割高となります。継続して服用するなら、皮膚科で処方してもらったほうがニキビに必要な他の治療もしてくれて、続けやすいでしょう。

 

 

3.十味敗毒湯が効く体質は?

 

西洋医学の薬と異なり、漢方薬では体質を重視します。ある人には効果があっても、別の人には合わないということがよくあります。

 

この「十味敗毒湯」は吹き出物が出やすく、化膿しやすい体質の方に合っています。

 

  •  ある程度体力がある人(虚弱な人には不向きです)
  •  化膿性の皮膚疾患の人
  •  化膿しやすい体質の人

 

初めて使用するさいは、ドラッグストアなどで購入するより医師と相談して使用するほうがいいかもしれませんね。

 

4.十味敗毒湯の使用方法

 

成人は1日7.5gを2~3回に分け、食前または食間に水かぬるま湯で飲みましょう。「食間」とは、食事中ではなく、食事と食事の間のこと。

 

つまり、食後から2時間ほど経過した、空腹の状態で飲みます。漢方薬は少しクセを感じることがあるかもしれません。飲みにくい人はオブラートで包む、カプセルに詰めるなど工夫するといいかもしれません。

 

4-1.効果が出るまでの期間

 

漢方薬は即効性が乏しいです。早い人は服用を始めて3日~1週間で効果があらわれることもありますが、たいていの場合、小さなポツポツしたニキビで一週間、赤ニキビなどは数週間から一か月程かかることもあります。

 

基本的に漢方薬は、毎日飲み続けて少しずつ体質改善をするものです。体のバランスを整えて、根本から治してくれるものだと考えてあまり焦らず気長に効果を待ちましょう。

 

 

5.十味敗毒湯の副作用は?

 

漢方薬は副作用がない?いえいえ、全くないわけではありません。人によっては軽度の副作用が出ることがあります。

 

「胃部不快感」「下痢」「発疹」「眠気」「じんましん」などが出ることがあります。このような症状が出た場合、使用を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。

 

他の薬を常用している人は、自己判断で服用するのではなく、皮膚科などで医師と相談して処方してもらいましょう。

 

5-1.重い副作用

 

偽アルドステロン症

尿量が少なくなることで、むくみ・体重増加が発生し、同時に体内のカリウムがすくなくなることで手足がしびれる・力が入らないなどの症状がでます。

肝機能障害

肝臓の機能が落ちるビリルビンという黄色色素を代謝できなくなり皮膚が黄色くなる黄疸という症状がでます。まただるさや・脱力感などの症状がでます。

 

稀ではありますが、以上の症状があらわれたらすぐに医師に相談しましょう。

 

 

6.まとめ

 

いかがでしたか? 漢方薬である「十味敗毒湯」はできてしまったニキビを軽減してくれると同時に、ニキビができにくい体質に改善してくれる効果があります。

 

西洋薬のように即効性は期待できませんので、イベントの前などすぐに治したいときには、皮膚科で相談して他の治療薬も併用していくとよいでしょう。

 

 

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監修医師

この記事の監修医師

西川嘉一
Hirokazu Nishikawa

ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。

業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。

一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。