【ニキビの薬?】シナールを医師がわかりやすく解説
2017-11-18更新
【ニキビ薬ランキング】皮膚科医が選ぶ薬はコレ!でまさかの1位を獲得したシナール。
意外すぎるランキングでしたが、たくさんの方が処方されているので、記事を書きます。
ちなみに私(西川)は、ニキビにシナールは処方しません。
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1.シナールってどんな薬?
有効成分 | 含有量(1錠あたり) |
アスコルビン酸 | 200mg |
パントテン酸カルシウム | 3mg |
シナールはビタミンC(アスコルビン酸)とビタミンB5(パントテン酸)が一緒になったお薬です。
ビタミンC(アスコルビン酸)は、主にコラーゲンを生成したり、メラニンの生成を抑制したり、抗酸化作用によって体の抵抗力や免疫力を高める働きがあります。
食品では、アセロラ、ケール、ピーマン、パセリ、柑橘類など野菜や果物に多く含まれます。
ビタミンCは水溶性なので、野菜や果物の調理の際には、洗いすぎや切り方(細かく切り過ぎない)、調理時間(茹で過ぎ)、調理方法(茹でるよりは炒める、煮汁ごと飲めるスープにする)等に気を付けると損失を防ぐことが出来ます。
ビタミンB5(パントテン酸)は、糖質・脂質・たんぱく質などの代謝や腸の働きを活性化させたりします。また、ビタミンCと一緒に摂取することでビタミンCの働きを助けます。
食品では、レバーや納豆、モロヘイヤ、干しシイタケ、卵黄、たらこ等あらゆるものに含まれています。
ビタミンC、ビタミンB5共に、食品に多く含まれる栄養素なので、健康な人が正しく食事を摂っている場合、欠乏する事はあまりありません。
名前の由来は、
お肌が白くなる
↓
しろ(く)なる
↓
シナール
というダジャレだそうです(笑)
うん、おもしろい…ですね(汗)
普通の人がシナールを飲んでお肌が白くなるかは微妙ですが、炎症後色素沈着は薄くなる人が多いです。
飲んだ方がいい人(適応症)は、ビタミンC不足の人と、炎症後色素沈着がある人です。
ニキビの人にシナールが出されているのは、ニキビによる炎症後色素沈着の改善・予防目的のケースが多いです。
ちなみにビタミンC誘導体のAPS化粧水はニキビを良くする効果があります。
少量のビタミンCを飲んで、ニキビに効くかどうかは不明です。
2.色素沈着改善のメカニズム
ビタミンC(アスコルビン酸)・ビタミンB5(パントテン酸カルシウム)は、炎症があった場所のメラニン色素ができるのを抑える作用があります。加えて、すでにできてしまったメラニン色素の色を薄くする還元作用もあります。
3.シナールの副作用
・胃不快感
・悪心
・嘔吐
・下痢
ビタミンCには下剤としての作用があり、ビタミンB5が腸のぜんどう運動を活発にする為、上記の副作用が出ることがあります。特に、シナールを1日の規定量以上飲むと、下痢になりやすいです。
ただし、ビタミンC・ビタミンB5共に水溶性のビタミンなので、過剰に摂取しても、余ったビタミンは尿とともに排出されます。また、ビタミンは本来食べ物などに含まれている成分なので、重篤な副作用はなく、比較的安全性の高いお薬です。
4.シナールの使用の際の注意
ニキビへの効果を期待しないことが大切です。
ニキビ跡の色素沈着の改善効果を期待しましょう。
5.まとめ
シナール。それは、なぜかニキビへよく処方されている薬。
シナール。それは、私の理解を超えた処方をされる薬。
シナール。それは、きっといい薬。
シナール。たまに、過剰に飲むとお肌が白くなったように感じられる薬(西川の個人的な体験談です。みんなに起きるわけではありませんので、ご注意を。過剰摂取はオススメしていません。)
シナールはニキビ跡の色素沈着には多少の効果が期待できますが、ニキビを治すためのお薬ではありません。また、即効性もありません。ニキビ跡で悩んでいる場合、薬での治療に比べ費用は掛かりますが、皮膚科でのピーリングやレーザー処置なども検討してみると、より高い効果が得られます。
また、喫煙や飲酒、ストレスなどによってビタミンCの消耗が増えます。ビタミンCを多く消耗するような生活をしている場合は、薬に頼り過ぎず、生活習慣の改善も心掛けましょう。
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この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。