【ニキビの薬?】ピドキサール錠(ピリドキサール)を医師がわかりやすく解説
2017-11-25更新
【ニキビ薬ランキング】皮膚科医が選ぶ薬はコレ!でまさかの5位を獲得したピドキサール。
1位シナール配合錠(ビタミンC)、5位ピドキサール(ビタミンB6)と意外すぎるランキングでしたが、たくさんの方が処方されているので、記事を書きます。
ちなみに私(西川)は、ニキビにピドキサールは処方しないことの方が多いです。
関連記事 薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
1.ピドキサール錠ってどんな薬?
有効成分 | 含有量(1錠あたり) |
ピリドキサールリン酸エステル水和物 | 10mg~30mg |
パントテン酸カルシウム | 3mg |
ピドキサール錠は活性型ビタミンB6(ピリドキサールリン酸エステル水和物)のお薬です。
ピドキサール錠は、簡単に言うとビタミンB6製剤です。
ただし、食品やサプリメントに含まれる一般的なビタミンB6(ピリドキシン・ピリドキサール・ピリドキサミン)とは少し違っていて、補酵素としてたんぱく質やアミノ酸の代謝に関与する、活性型ビタミンB6(ピリドキサールリン酸エステル水和物)です。
一般的なビタミンB6が体内で変換されて活性化されてビタミンB6となります。
体内ですぐに利用される活性型ビタミンB6の形で配合されているため、効果の発現が早く、効率よく作用します。
ビタミンB6はアミノ酸等の代謝、神経伝達、たんぱく質や脂肪の生成等に関与するビタミンで、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。食品ではにんにく・レバー・穀類・バナナ・ジャガイモなどに多く含まれます。
食品からの摂取の他に腸内細菌からもつくられるので、通常は欠乏する可能性は低いですが、消耗性疾患や妊産婦、授乳婦など、食事から充分なビタミンBが摂れない時の補給に用います。
また、ビタミンB6が欠乏しておこる口内炎、口角炎、口唇炎、舌炎、急性・慢性湿疹、脂漏性皮膚炎や、ビタミンB6依存症、接触皮膚炎、末梢神経炎、貧血、放射線障害などの治療に用いられます。
名前の由来としては、成分名のピリドキサールを、もじってピドキサールにしたようです。
2.ニキビ改善のメカニズム
ピドキサール錠が皮脂分泌を抑える作用があり、ニキビの改善が見込めます。
脂漏性湿疹のような病気もビタミンB6(ピドキサール錠)を内服することで改善する人が多いです。
3.ピドキサールの副作用
・胃不快感、悪心、食欲不振、嘔吐、下痢などの消化器症状
・発疹などの過敏症状
・肝機能異常
まれに上記の副作用がでますが、適正に摂取していれば、重大な副作用が出ることはまれです。
また、適正量を守ることは大切ですが、水溶性ビタミンなので摂りすぎても尿などから排出され、体に蓄積されることもなく比較的安全性の高いお薬です。
(ただし、新生児・乳幼児に大量に用いた場合には横紋筋融解症などの重篤な副作用がでることがあります。)
4.ピドキサールの使用の際の注意
ピドキサール錠は、ニキビへの効果を証明する臨床試験は行われていません。
また、ピドキサール錠の服用のみでニキビが完全に治るというものではありません。抗生剤や外用薬など他のニキビ薬と組み合わせて処方されることが多く、他のニキビ治療と併せて栄養素を補うことで、治療の効果を高めるためのものです。
経験的にはやや効果があるかもしれないという印象です。
私の友人でも
「ニキビのときにピドキサールを飲むと良くなる!」
と力説する人もいます。
5.まとめ
ピドキサール。ニキビに処方するかどうか、迷う薬。
ピドキサール。処方しても、害の少ない薬。
ピドキサール。安心な薬。
ピドキサール。たまにすごいファンがいる薬(私の友人ですが)。
ビタミンは皮膚の健康を保つのに必要な栄養素なので、必要に応じ適正に摂取することで、ある程度治療効果を高めることに役立ちます。
ただし、ビタミン剤はニキビ治療に関して、その服用だけで高い効果が得られるものでも、即効性があるものでもありません。
薬やサプリメントに頼り過ぎず、正しい食事や生活習慣の改善をすることも大切です。
関連記事 薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。