【黒ニキビ(開放面皰)の原因&治し方】皮膚科医がわかりやすく解説
2016-10-30更新
意外と知られていない黒ニキビ。でも「毛穴が黒く詰まっている状態」には悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
ここでは黒ニキビの対策をご紹介します。
この記事の監修医師 アクネスタジオ 院長 西川嘉一 |
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黒ニキビの種類
黒ニキビってどんなもの?
そもそも「ニキビ」とは、毛穴が皮脂が詰まった状態のことを指します。
「黒ニキビ」とは、毛穴の出口が開き、 毛穴の表面が黒くなっている状態のニキビです。
黒ニキビの種類と状態を詳しくご紹介します。
【これって黒ニキビ?】いちご鼻
小鼻の毛穴が角栓(コメド)で埋まり、黒いドット状に見えてる状態がいちご鼻です。
実はこれも立派な黒ニキビです。
この症状が悪化すると、毛穴の中でアクネ菌が繁殖して、赤ニキビ化してしまいます。
鼻は、毛穴の数が多く、また皮脂腺が活発な場所なので、黒ニキビができやすい場所の1つです。
ただ、鼻の黒ニキビ(いちご鼻)は、治療方法が非常に難しいです。
こまめに清潔を保つよう心掛けても、いちご鼻(鼻の黒ニキビ)になってしまう方は多くいらっしゃいます。
かといって、毛穴につまった黒い皮脂を指や爪で押し出すことはNGです。
【これって黒ニキビ?】粉瘤(ふんりゅう)
黒ニキビに見た目がよく似ている「粉瘤」(ふんりゅう)という皮膚炎があります。
粉瘤は黒ニキビはではありません。
痛かったり、赤みが出ている場合は、粉瘤の可能性がありますので、皮膚科や病院に行ってみてもらいましょう。
粉瘤(ふんりゅう)とは
真皮(しんぴ⇒皮膚の深い場所)に、垢などを出す表皮(ひょうひ⇒皮膚の浅い場所)の成分が入り込み、深い場所(真皮から皮下組織)に垢が溜まってしまう病気です。
開口部と呼ばれる出口のある場合とない場合があります。
開口部がある小さい粉瘤は黒ニキビと似ていて判別が難しいです。
粉瘤は別名、『粉瘤』『表皮嚢胞」『類表皮嚢胞』『アテローマatheroma』『アテローム』などとも呼ばれます。
基本的には同じものです。
粉瘤と普通の黒ニキビの見分け方
小さい粉瘤と黒ニキビは見分けるのが難しいです。
初期の小さい粉瘤は、開口部が黒くなっていて、外見上黒ニキビとほぼ同じです。
開口部がないタイプは白ニキビと似ているため、判断が難しいです。
粉瘤がある程度の大きさになると、黒ニキビと違い、痛みが出てきたり、盛り上がりやしこりを触れるので、判別が可能になります。
黒ニキビができる原因
黒ニキビの原因は
〇皮脂の分泌の多さ
〇乾燥
この2点が大きな要因です。
黒ニキビは、毛穴の出口が狭くなってしまい、皮脂が毛穴の外に出られなくなってしまうと発生します。
具体的にはこんな時にその症状が現れます。
〇ホルモンバランスの乱れ
〇皮脂の分泌が多い体質
〇角質が固い体質(うるおいが少ない体質)
〇皮膚のバリア機能低下
〇ストレス
これらが原因になり、毛穴の出口付近の角質が固くなり、出口を塞いでしまうことがあります。
黒ニキビのホームケア
ケアが難しい黒ニキビですが、適切なアイテムを上手に使ったり、ニキビ専門皮膚科で治療をすると、改善できます。
では具体的な改善方法を見ていきましょう。
皮脂を柔らかくする
黒ニキビは皮脂が固まって、毛穴の出口から出られない状態になっています。
そこで、毛穴名の出口を柔らかくして、中に詰まっている皮脂が出やすい状態を作ってあげましょう。
〇ホットパックやホットタオルで鼻を温める
〇お風呂で温まり、毛穴を開かせ、皮脂を柔らかくする
〇スチーマーで適温の蒸気を鼻に充てて、毛穴を開かせる
などが手軽にはじめられるホームケアの方法です。
ミネラルオイルやクレンジングで皮脂を溶かす
皮脂は油分がメインです。
そこでミネラルオイルやクレンジングを使用して、毛穴に詰まった皮脂を溶かしましょう。
皮脂はミネラルオイルやクレンジングオイルに馴染むと、柔らかくなり溶け始めます。
ケアするときは、なじみやすくするために
〇掌を温める
〇鼻の毛穴を温めてから行う
と効果的です。
そのため、バスタイムやバスタイムの後は、ベストタイミングです。
見逃さずにお手入れしてみましょう。
皮脂の分泌を少なくする
食事を見直す
皮脂の分泌量はビタミンBがコントロールしてくれます。
そのため、B2、B6の多いものを取るのは、黒ニキビ対策としておすすめです。
ビタミンB2 、B6が豊富に含まれている食材の一例をご紹介します。
〇B2 ・・・ レバー(特に豚がオススメ) ・ のり ・ アーモンド ・ モロヘイヤ・チーズ
〇B6 ・・・ 魚の赤身(特にカツオやマグロがオススメ) ・ にんにく ・ 酒粕 ・ イワシ
ビタミンB2 、B6は一緒に摂取すると相乗効果が期待できる栄養素です。
今日の食事メニューに1品、一緒に摂取できるものを追加してみてはいかがでしょうか。
また、糖分を摂取すると、ビタミンB群は大量に消費されてしまします。
糖分の摂取は適量に抑えましょう。
ニキビが増えやすい食品もあります。
代表的なものは「チョコレート」や「スキムミルク」です。
詳しい記事はこちらをお読みください。『スキムミルク・牛乳でニキビが増える?』『チョコレートの◯◯成分でニキビが増えるってホント?』
肌のバリア機能を取り戻す
肌は、外からの刺激から肌を守る機能、いわゆる「バリア機能」が備わっています。
しかし、そのバリア機能は、肌に過度な負担がかかったり、乾燥したりすると低下してしまいます。
そのため、以下のことはNG行為なので気を付けましょう。
〇鼻の黒ニキビ(イチゴ鼻)の詰まりを指や爪で押し出す
〇肌を乾燥させる
皮膚は慢性的に負担をかけられるとバリア機能が低下してしまいます。
毛穴の詰まりを押し出すというような、毛穴への負担は、毛穴が常に開いたままの状態を作ってしまいます。
そうなると、より毛穴詰まりが起きてしまい、鼻の黒ニキビ(いちご鼻)のケアはうまくいきませんので気を付けましょう。
また、肌を乾燥させてしまうこともバリア機能低下の大きな要因の一つです。
洗顔後は十分な保湿をすることを心がけましょう。
バリア機能が低下している肌へのケアのポイントは「とにかく優しく」です。
洗顔料は低刺激のものを使用しましょう。
また、洗顔料をしっかり泡立てて「泡洗顔」としましょう。
正しい泡洗顔は、肌にほとんど負担をかけずに、泡のチカラで汚れをしっかりとOFFできるのでおすすめです。
正しい泡洗顔・スキンケアの詳しい記事はこちらです。『ニキビ肌のためのスキンケア方法』『ニキビ肌さんがトライすべきクレンジング法とは?』
【このケアあり?なし?】毛穴パック編
結論から言うと、毛穴パックは1~2ヶ月に1回程度であればOKです。
それ以上は肌のバリア機能を奪ってしまうのでNGです。
詰まりが改善しないからと意地になって、毛穴パックの使用回数を増やすしても効果は増えませんので、短期間に連用しないようにしましょう。
短期間で連用するとお肌に負担をかけて、炎症などを引き起こして逆にニキビが悪化することがあります。
毛穴パックを使用する前に、ホットパックや蒸しタオルなどで毛穴を開いてから使用すると、より効果的です。
しかし、すでに毛穴が硬くなってしまっている人は、使用しても効果が薄ので注意が必要です。
【このケアあり?なし?】ゴマージュ編
ゴマージュはNGです。
ゴマージュをピーリングという方もいますが、ここでは、明確に区別します。
◯ゴマージュ⇒表皮を無理やり擦ることで角質を落とすもの
◯ピーリング⇒ピーリング剤を用いて角質を溶かす・あるいは柔らかくして、角質を落とすもの
どちらも「角質を落とす」という目的は同じなのですが、治療過程が異なります。
ゴマージュは、直後の効果はありますが、皮膚をこすってしまうため皮膚が固くなってしまいます。
たとえば足の裏の皮膚ってカチカチに固いですよね?
それは足の裏の皮膚は全体重を支えるための強い刺激をいつも受けているせいです。
このように、顔の皮膚も、慢性的に強い刺激を受け続けると固くなっていくので気をつけましょう。
粉瘤(ふんりゅう)のホームケア
粉瘤を家で治したりケアするのは難しいです。
大きくなったり痛みが出てきたら、皮膚科・形成外科に行きましょう。
決して自分でムリに絞り出そうとしないでください。
家で無理やりに絞り出すと、感染してしまうこと(細菌が繁殖すること)があります。
また、絞り出すとだけでは、被膜と呼ばれる粉瘤の袋が残ってしまい、多くの場合、再発してしまうのです。
皮膚科や病院では、衛生的な環境や抗生物質(抗菌薬)を使用できるので、安全に治療ができます。
まずは専門医に相談してみてください。
黒ニキビの皮膚科治療
黒ニキビを治すための治療方法には
◯角質を柔らかくする
◯皮脂を抑える
◯適切に角栓を出す
などがあります。
そこで、黒ニキビの治療に有効な治療をご紹介します。
角質を柔らかくする
◯ケミカルピーリング
⇒ケミカルピーリングの詳しい記事はこちら『黒ニキビにはケミカルピーリング』
◯ディフェリンゲル
⇒ディフェリンゲルの詳しい記事はこちら「黒ニキビにはディフェリンゲル」
◯ベピオゲル
⇒ベピオゲルの詳しい記事はこちら「黒ニキビにも効くベピオゲルとは?」
◯トレチノイン(ビタミンA誘導体)
皮脂を抑える
◯ディフェリンゲル
⇒ディフェリンゲルの詳しい記事はこちら「黒ニキビにはディフェリンゲル」
◯ケミカルピーリング
⇒ケミカルピーリングの詳しい記事はこちら「黒ニキビにはケミカルピーリング」
◯イオン導入
⇒イオン導入の詳しい記事はこちら「黒ニキビにイオン導入は有効?」
角栓を出す(面皰圧出)
無理やり力任せに角栓を出すのはNGですが、適切な方法で角栓を出すことは、黒ニキビ治療でよく用いられる方法です。
この方法は「面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)」といい、専用の器具で安全に毛穴から角質を押し出す治療です。
この面皰圧出はどんな黒ニキビでも効果的に治療ができるわけではありません。
面皰圧出に、向いているのは「直径2㎜以上の大きい黒ニキビ」です。
それ以下の大きさ(小さいもの)は、角栓を出しても比較的早く再発してしまいます。
小さい黒ニキビの角栓は、「黒ニキビができないようにするための予防」を併用しないと意味がありません。
小さい黒ニキビの場合、「ニードルRF」という機器を使用して安全に角栓を出し、毛穴自体を引き締める治療が向いている場合が多いです。
最近、鼻の黒ニキビ(いちご鼻)の治療に効果が高いとジワジワ人気が上がってきている治療です。
一度ニキビ専門皮膚科に相談してみましょう。
粉瘤の皮膚科治療
粉瘤の場合、どんな治療法があるのでしょうか。
大きく分けると
◯内服薬(飲み薬)で治療
◯手術で治す
の2択です。
どのような方法なのかまとめてみました。
内服抗菌薬(飲み薬の抗生物質)
細菌が増殖しているときは、内服抗菌薬で感染を抑えます。
これだけでよくなる人は、手術をしないことが多いです。
再発を繰り返している人や巨大なものは手術で取り出すことがあります。
手術方法
粉瘤は状態によっては手術をして除去することがあります。
手術方法は複数あります。
1.小切開摘出術
メスで皮膚をカットし、粉瘤を露出させます。
被膜と呼ばれる袋を皮下組織を剥離しま、袋ごと取り出します。
傷を縫って、閉創して、終了です。
2.くり抜き法(へそ抜き法)
トレパンと呼ばれる小さい丸型のメスで皮膚から粉瘤に向けて穴をあけます。
中身を揉み出します。
被膜と呼ばれる袋が出てきたら、袋ごと取ります。
傷を縫うあるいは湿潤療法という方法で傷を閉じます
手術後のダウンタイム
切開の場合、抜糸まで5日から1週間程度かかります。
手術後の治療痕
小さいものを除き、傷跡は必ず残ります。ただし、小さいものであれば、ニキビ跡クレーターよりも小さいものもあります。粉瘤の大きさにより傷はかなり異なりますので、担当医に聞いてみましょう。
関連記事 薬の効きにくいニキビの治療例 西川先生の治療日記 |
この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。