【ニキビの漢方薬】荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)を皮膚科医がわかりやすく解説
2017-08-12更新
Index
1.荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)とは?
荊芥連翹湯は「けいがいれんぎょうとう」と読みます。
中国が明の時代に作られた「万病回春」という古典書に記載されていたものが元になった漢方薬です。
体の熱や炎症をさます、膿を排出する、血液循環を改善する生薬などが配合されています。
また、ニキビの原因の一つに便秘がありますが、腸内が水分不足による乾燥で慢性的な便秘になっている方に対して、荊芥連翹湯は腸内環境を水分で潤わせて、自然な形で排便できるように体質を変えていきます。
1-1.荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)のニキビへの効果
実は、ニキビへの効果は低い!
荊芥連翹湯のニキビに対する効果は、実は、他の治療と比べて効果が高くありません。
なので、荊芥連翹湯単独でニキビ治療が行われることはありません。
では、なぜ荊芥連翹湯がニキビ治療に使われているのでしょうか?
じっくりとニキビ体質を改善する!
即効性のあるニキビ治療薬(ディフェリンゲルやベピオゲル、ゼビアックスローション、ミノマイシンなど)を用いて、できてしまったニキビを治します。
そこに荊芥連翹湯を併用することで、新しいニキビができにくい体質へと変えていきます。
荊芥連翹湯の体質改善は、他のニキビ治療薬では真似できない特徴になっています。
【ニキビの薬】ディフェリンゲルを皮膚科医がわかりやすく解説 |
1-2.荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)の17種類の生薬
17種類の世薬は、それぞれ異なる効果があり、それらの効果が調和することで相乗効果が生まれます。
消炎作用・解毒作用:皮膚の炎症や毒素を取り除き、化膿を抑制し改善してくれます。
「荊芥(ケイガイ)」・・消炎、抗炎症作用、鎮痛作用があります。
「連翹(レンギョウ)」・・排膿促進作用や消炎作用、解毒作用があります。
「桔梗(キキョウ)・・免疫力を向上させて排膿作用を高めます。
「黄連(オウレン)」・・解熱作用や健胃作用。炎症部の熱をとり、腫れを抑えます。
「黄柏(オウバク)」・・消炎作用や殺菌作用、健胃作用があります。
「黄芩(オウゴン)」・・解熱、消炎作用。皮膚の腫れを抑えて炎症を鎮めます。
「山梔子(サンシシ)」・・解熱、消炎、抗菌、鎮静作用があります。
「柴胡(サイコ)」・・解熱、消炎、鎮痛、抗菌作用。熱をとって皮膚の腫れを鎮めます。
「防風(ボウフウ)」・・解熱、消炎作用。皮膚の腫れを鎮めます。
「甘草(カンゾウ)」・・消炎、抗炎症作用。ニキビの腫れや炎症を鎮めます。
血管拡張作用:血管を広げる作用は、皮膚の血行を良くして皮膚をキレイにしてくれます。
「当期(トウキ)」・・血行促進作用。新陳代謝を高めます。
「川芎(センキュウ)」・・血行促進作用。新陳代謝を高めます。
「芍薬(シャクヤク)」・・血行促進作用。ホルモンバランスを整える作用があります。
「地黄(ジオウ)」・・血行促進作用。発熱抑制やホルモンバランスを整える作用。
「白芷(ビャクシ)」・・血行促進作用、炎症体質の改善作用があります。
消化機能改善作用:胃の調子を整えたり、便通を改善してくれます。
「枳実(キジツ)」・・健胃作用、便通改善作用があります。
「薄荷(ハッカ)」・・胃の調子を整えたり、熱を抑える作用があります。
2.荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)が買える場所は?
漢方薬として皮膚科で処方してもらえますが、皮膚科に行かなくても、ドラッグストアでも購入できます。ドラッグストアで購入すると、皮膚科で保険で処方されるより割高となります。継続して服用するなら、皮膚科で処方してもらったほうがニキビに必要なほかの治療もしてくれて、続けやすいでしょう。
3.荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)が効く体質は?
西洋医学の薬と異なり、漢方薬では体質を重視します。ある人には効果があっても、別の人には合わないということがよくあります。
「荊芥連翹湯」は、炎症を伴うニキビや慢性鼻炎などに効果があり、そのような病気になりやすい体質の方に合っています。
体力が中等度以上の人
血行が悪く皮膚の色が浅黒い人
手足の裏に発汗しやすい人
慢性鼻炎など炎症のある人
初めて使用する際は、ドラッグストアなどで購入するより医師と相談して使用する方がいいかもしれませんね。
4.荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)の使用方法
成人は1日7.5gを2~3回に分け、食前または食間に水かぬるま湯で飲みましょう。「食間」とは、食事中ではなく、食事と食事の間のこと。
つまり、食後から2時間ほど経過した、空腹の状態で飲みます。漢方薬は少しクセを感じることがあるかもしれません。飲みにくい人はオブラートで包む、カプセルに詰めるなど工夫するといいかもしれません。
4-1.効果が出るまでの期間
漢方薬は即効性が乏しいです。早い人は服用を始めて3日~1週間で効果が現れることもありますが、たいていの場合、小さなポツポツしたニキビで1週間、赤ニキビなどは数週間から一か月程かかることもあります。
ホルモンバランスは2~3週間で整っていきます。
肌の新陳代謝の活性化によるニキビ跡の改善には、一か月ほどかかります。
基本的に漢方薬は、毎日飲み続けて少しずつ体質改善するものです。体のバランスを整えて、根本から治してくれるものだと考えてあまり焦らず気長に効果を待ちましょう。
5.荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)の副作用は?
漢方薬は副作用がない? いえいえ、全くないわけではありません。人によっては軽度の副作用が出ることがあります。
「胃もたれ」、「食欲不振」、「吐き気」、「下痢」、「だるさ」、「発疹」などが出ることがあります。このような症状が出た場合、使用を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。
他の薬を常用している人は、自己判断で服用するのではなく、皮膚科などで医師と相談して処方してもらいましょう。
5-1.重い副作用
・偽アルドステロン症
尿量が少なくなることで、むくみ、体重増加が発生し、同時に体内のカリウムが少なくなることで手足がしびれる、力が入らないなどの症状がでます。
・肝機能障害
肝臓の機能が落ちるビリルビンという黄色色素を代謝できなくなり皮膚が黄色くなる黄疸という症状がでます。まただるさ、脱力感などの症状がでます。
・間質性肺炎
から咳、発熱、少し動くだけで息切れするなどの症状がでます。
稀ではありますが、以上の症状が現れたらすぐに医師に相談しましょう。
6.まとめ
いかがでしたか? 漢方薬である「荊芥連翹湯」は、炎症を伴うニキビを軽減してくれると同時に、そのような状態になりにくい体質に改善してくれる効果があります。
西洋薬のように即効性は期待できませんので、イベントの前などすぐに治したい時には、皮膚科で相談して他の治療薬も併用していくとよいでしょう。
この記事の監修医師
西川嘉一
Hirokazu Nishikawa
ニキビ治療のエキスパート。ニキビ・美肌・くまの専門家。東京大学医学部卒。
業界大手・銀座院長を経て、ニキビ専門皮膚科【アクネスタジオ】を開院。
一ケ月に1000人以上がアクネスタジオを訪れている。